本編 第一部
二章 「恋と危険は何故か似ている」
第七話「夏休み」
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はよう、なんだか悪いな、ほんとは私に夜いろいろしたいことがあるだろうがじいさんのことだ、それができないほど、体を追い込んでるんだろう?なんだか悪いな」
「いや、いいんだが、くそっやはり力はみなぎっているが、体が動かん〜〜!」
「やっぱりな、じいさんのことだ。あと少しまてばくるだろう、さて私は、襲われないために服でも着るか」
そう、なにがくやしいってこのときなんだよ、朝、力はみなぎっているくせに、体がなぜか動かない。で目の前で伊佐は着替え始める。
「おまえなあ、いくら、おれがじいさんの点穴で体の自由を奪われてるからってな。なにも目の前で着替えることないだろ〜〜!」
「うん、いや目の保養にでもなってやるかと」
「なにもできないのにそういうことされるのは拷問なんだ〜〜!」
ちくしょう、こいつのじいさんもこいつもまったくなに考えてるんだ。およそ、羞恥心とかがないくせに、ちゃんと一線越えないようにしてやがる。
「じいさんはな、男に体を許すのは、その男に返しても返しきれないなにかをもらった時からだといっているんでな。おまえはいい男だし私としては好きな奴でもあるんだが、そんなでかい借りはまだもらってないんでな。いっとくが私を、ちからずくでなんとかしようなんておもうなよ?そのときはまあ恐ろしいことになる」
「もう、それは何度も聞いてるよ。それにあの剣持先輩がおまえと目を合わせただけで逃げたってのも引っかかるし。おれから襲おうなんて考えてはいねえよ」
「ふふふ、だから面白いんだ。おまえ、なんていうか、おまえはどんなときでも、ちゃんと自分のことより、知らないうちに相手のことを考えてるんだよな。おまえ、いままで喧嘩なんかいっぱいやったろうけど、絶対、おまえの方が強いのに、暴力のままに相手殴ったことないだろ?」
「そりゃあ、おれは、ガキんときからボクシング習ってたしな、ボクサーは、決して喧嘩では本気になっちゃいけないんだ。分かるだろ、おれらみたいな本当の人の殴り方知ってる奴が本気で殴っちゃったら、相手はどうなるかわかんないんだ」
「まあ、私もじいさんに武術習ったからな、そのときに、おまえがいったこととおなじこと言われたよ」
「そういうことだ、喧嘩だけじゃなくて、他のいろんなことでもそうだ、おやっさんはこいうの昔かたぎに神武不殺とか言ってたな。ようするに本当に強い奴はぜったいに殺しはしない。これはおれの誇りだ。おれは、盾しかもたない。この拳は盾なんだと自分に言い聞かせるんだ。どんな矛をも止める盾」
「そうか、ならいつか、私が、殺されそうなときは、おまえのその盾で守ってくれよ、な?」
「いいぞ、ってかもうそのつもりなんだけどな」
「ん、なにか言ったか」
「いや?」
そんなこと、おまえに惚れちまってからわざわざ言うことでもないとさえ思ってたさ。
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