崑崙の章
第17話 「……殺戮(キリング)、機械(マシーン)……」
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躱し、さらなる打撃を叩き込んだはずだった。
だが、それでも奴は攻撃を俺の足に集中させた。
その執念に思わず圧倒されたのは否めない。
一瞬の気の緩みが、俺の今の足の現状だった。
「ハァ……ハァ……ま、まだ、やる、か……?」
ボロボロの身体で、よくそんな軽口が叩けるものだ。
俺はやつのその様子に、俺の知る北郷一刀ではないことを思い知る。
俺の知る北郷一刀は、いい加減でチャランポランで力もないのに正義感を振りかざす大馬鹿野郎だった。
だが、目の前にいる男は……
「……っ!」
いや……認めん!
北郷一刀……その同存在などを認めることなど、俺にはできない!
俺は左足の痛覚を遮断して、ひしゃげた足を力ずくでまっすぐに矯正する。
そして呪文を唱えると……
「……! う、嘘だろ……!?」
北郷盾二が驚愕する。
当然だ。
俺の足は、瞬く間に完治していくのだから。
「……よし」
俺は、治った足で地面を踏みしめる。
その足の動きを確かめるように軽く演舞してみた。
「……なんて……インチキな……」
そう呟く北郷盾二を、俺は無視する。
本気を出す。
そう言ったはずだ。
「さて……お前の質問に答えてやろう。まだやるか、だったな。答えは……」
治ったばかりの足に気を込めて、瞬時に発動させる。
その力は、瞬時に俺を北郷盾二の目の前へと移動させた。
――縮地。
この仙術はそう呼ばれる。
「これで終わり、だ!」
全力全開の浸透撃を、北郷盾二のどてっ腹に叩きこむ。
防御する間もなく、それを受けた北郷盾二の腹は、反対側に膨らむように反り返った。
「……っ!」
そのまま吹き飛び、運良く柵の手前で地面に叩きつけられる。
そして柵へとぶつかり、そのまま倒れ伏した。
「フゥー……ハァー……」
俺は、呼吸を整えて気を静める。
全ては終わった。
北郷盾二は、ぴくりとも動かなくなり、その血が石畳の上に広がっていく。
もう立っては来られないだろう。
「………………………………あ」
やつが倒れ伏した状況を見て、唐突に思いだす。
そうだ……これは、試練だった。
暗殺ではなかった。
「いかん、つい……」
元々の目的を忘れて、倒すことに全身全霊をかけてしまった。
まずいな……死んでなければいいが。
「……………………っ」
……?
今、やつの身体が動いたような……
「…………ぐ…………っ」
!?
俺が見ている前で、やつは……北郷盾二が起き上がろうとする。
……驚いた。
俺の渾身の一撃は、確
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