崑崙の章
第17話 「……殺戮(キリング)、機械(マシーン)……」
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右腕で左慈の右肩めがけてカウンターを放つ。
「ガッ!」
AMスーツの防御力自体は無効に出来ても、その攻撃力までは無効にできなかったらしい。
岩すら砕く、全力の一撃は、左慈の肩の関節を外し、空中へと吹き飛ばした。
そのまま縁を越えて谷底へ……とはいかず、空中で体勢を整えると、縁の柵の上を蹴り石畳の上に着地する。
その左慈の右腕は、だらりと垂れ下がっていた。
「クッ……やはり、こちらも気が抜けん、かっ!」
言葉と同時に、ゴキッという音がする。
自分で肩の関節をはめ込んだらしい。
「うへ……痛そう」
盾二はそう軽口を叩くが、貫手にやられた自身の左腕を押さえている。
「チッ……ダメージは五分か。忌々しいな」
「よく言うぜ……本気出してないくせに」
「ほう……」
ニヤッと笑う左慈。
盾二の言葉通り、未だ本気で戦ってはいない。
あくまで前哨戦でしかなかった。
「では、本気でいくとするか」
そう答える左慈の体に力が漲る。
その様子にげんなりしながら盾二が呟いた。
「やべ……藪蛇だった」
―― 左慈 side ――
北郷盾二と戦いだして、すでに一時間はたっただろうか。
正直、予想外だったと言わざるを得ない。
俺は、一度はずれた肩の痛みに顔を顰めつつ、そう思う。
本気を出す、俺はそう言った。
そう……俺が本気をだすということは、仙道をフル活用して攻撃するということ。
硬気功、軟気功、仙術すら使って、本気で倒しに行った。
だが……
「がふっ……ハァー……ハァー……ハァッ……」
「……ちっ」
目の前で、息も絶え絶えに立つ男、北郷盾二。
やつは、未だに倒れていない。
そのことは、もはや俺にとって脅威だった。
やつの全身は、幾度と無く放った俺の浸透撃で、ズタボロのはずだった。
スーツに覆われて確認はできないが、内部は内出血で全身がうっ血しているはず。
その証拠に、確認できる顔面は蒼白で、血が足りないために貧血気味であることがはっきり見て取れる。
にも関わらず、やつは隙あらばこちらの攻撃にカウンターを合わせてくる。
しかも、どこにそんな力が残っているのかわからないようなパワーで、だ。
それがあのスーツの力なのかもしれないが、地力の高さも十分伺える。
その証拠に……
「ち……もう左足が動かんか」
俺の左足は、やつの度重なる攻撃により、ひしゃげたように折れ曲がっている。
やつは、俺が本気を出した後、守りを固める一方で手数を抑え、カウンターの一撃を俺の足を削ることに腐心した。
その攻撃を硬気功で受け、軟気功で
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