暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―
旧校舎のディアボロス
第13話
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下ろされることはなかった。
 レイナーレに向かって氷が降り注ぐ。
 レイナーレはそれを後ろに跳ぶことで躱した。
 この氷はまさか!
「イッセー!!ここじゃあ不利だ!!」
「僕たちが道を開く!だから君は彼女を連れて上へ!」
「・・・早く逃げてください」
 祭壇から入口までの神父はおらずその両脇に行っていた。
 そしてその直線状に行かせまいと神父を抑える木場と小猫ちゃん。
 朔夜は銃口をこちらに向けてレイナーレを牽制していた。
 よかった。二人は無事だった。
「急げイッセー!!」
 朔夜の言葉に俺はアーシアをお姫様抱っこをして駆け出す。
 二人が作った道を進む。時折二人を抜けた神父が俺に向かってきたが朔夜の攻撃のおかげで問題なく進めた。
「先に行け。俺たちは一通り抑えた後に向かう」
 朔夜がすれ違いざまにそう言ってきた。
 その言葉に俺は頷くと扉を出る。
「グレイブ!」
 朔夜の呪文が聞こえた。後ろを振り返ると扉が岩で防がれていた。
 きっと、神父が来れないようにしてくれたんだ。
 それを確認するとすぐさま俺は廊下を走り抜けた。


 ◇◆◇


 階段を上がり聖堂につくとアーシアを長椅子に寝かせる。
「アーシア!もうすぐ自由になれるんだ!俺たちといつでも遊べるようになるんだ!」
 アーシアの手を握る。
 その手からぬくもりは無くなっていってる。顔だって真っ青だ。
「・・・私、少しの間でしたが・・・幸せでした・・・」
 アーシアは苦しみながらも微笑む。
「・・・もし、生まれ変わっても、また、友達になって、くれますか?」
「何言ってんだ、アーシア!俺たちはずっと友達だ!今だって!これからだって!!」
 アーシアの手を両手で強く握り、必死に言葉を続ける。
「朔夜たちだってそうさ!今度みんなで出かけようぜ!カラオケとかゲーセンとか!もっと楽しいことがたくさんあるんだ!」
 笑って話しかけていた。
 だけど涙が止まらなかった。
 きっと彼女の状況がわかってしまったからだ。
 死んでしまう。
 アーシアはもう死んでしまう。
 だからそれを否定するように笑いかけた。必死に。
「・・・きっと、この国で生まれて、イッセーさんたちと同じ学校へ行けたら・・・」
「行こうぜ!大丈夫!アーシアならみんなとうまくやれる!友達だってもっと増えるさ!俺のダチだって紹介する!だから!」
 その先は言えなかった。言ってしまったら認めてしまいそうで嫌だった。
「・・・私のために、泣いてくれて・・・」
 アーシアの手が俺の頬を撫でる。
「アーシア!!」

 ―――――ありがとう

 その言葉と共にアーシアの手は落ちた。
 もう目も閉じてしまっている。
 優しく微笑んだまま、逝ってしまった。
 
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