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第十九話 覚悟
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に耐えきれないと思ったのならその令呪を使え」
「……?」

アスナはアーチャーが何を言ったのか良く解らなかった。

絶対命令権でもある令呪を何に使えと言うのか。
左手の甲に視線を移した。

「その令呪で私に命じろ。――――――自害しろとな」
「!?」

アスナは耳を疑った。

自害。
つまり自殺だ。

この令呪を使って、自分のサーヴァントに自殺を命じるなんて。
アスナは理解が出来なかった。

「ふざけないで!なんで私がそんな事命令しなくちゃいけないの!」

アスナは声を荒げた。
そんな事出来る筈がない。

そんな……人に自殺を命じる事など。

「なら、君に覚悟はあるのか?」
「え?」
「これから先―――――――――殺し合いを続ける覚悟が」
「……っ」

アスナは黙ってしまった。
サーヴァントを使役すると言う事は殺し合いを続けると言う事。
アーチャーはそれを問いかけた。

殺し合いに参加するだけの覚悟は有るのかと。

「――――まあ、今日は色々あったからな、答えはすぐに出せなくても良い。今日はしっかり休む事に専念するのだな」

アーチャーは先程までの張りつめた空気を弛緩させるかの如くそう言い放つと、粒子をまき散らしその場から消えてしまった。

「……」

アスナは一人部屋に取り残される。

ベッドの淵に腰掛けられていた体を中央付近まで持ってくると、そのまま丸くなり今日一日の事を思い出しながら、自問自答を始めた。

「私は……」

自分に戦い続ける覚悟があるのか。

その夜、アスナはアーチャーに問われた事をずっと考え続けた。

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