第十九話 覚悟
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けで体中に悪寒が走る。
私は、何かから守るように両腕で自分の体を抱きしめた。
体が震える。
歯の根も噛み合わないほど、ガタガタと震えだす。
私は今まで、様々な恐怖を味わってきた。
それでも、今回はそんなものが可愛いと思わせるぐらい激しいものであった。
私はその場から動く事が出来ない。
すると、目の前に誰かが立つ気配がした。
顔をゆっくりと上げると、私のパートナーでもあるアーチャーがいつもと変わらない無表情で私を見ていた。
アーチャーの腕はまだ赤いエフェクトを放っており、回復しきれていない。
それでもアーチャーは、私の顔を見ると苦笑しながら私の前にしゃがみ込んだ。
「酷い顔だな。それではせっかくの美人が台無しだ」
世間話をするが如く軽口を叩くアーチャー。
いつもなら、私が此処ですぐに反論するのだが今はそんな余裕がない。
「―――さて、私達もそろそろ離れるとしよう。何時までも此処にいるわけにもいかないからな」
アーチャーはそう言うと、私に催促した。
確かに此処に居座り続ければ、その分モンスターに襲われる可能性がある。
私は言われるがままに右手を宙に動かして、アイテム欄を探る。
そして目的の物を見つけると、それを取り出し叫んだ。
「転移―■■■――」
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ある部屋の一角で、アスナは一人ベッドに腰掛け俯いていた。
本来なら戻った時、部屋着に着替えてすぐに就寝するはずなのだが、その時ばかりは着替える事もせず、戦闘服のままベッドの上で俯き続けていた。
そして、正面の壁には彼女の従者でもあるアーチャーが背中を預け、目を閉じたまま腕を組んで立っていた。
右腕は既に治ったのか、傷一つ無く服も既に直っている。
「―――――――――――ごめんなさい」
ベッドに腰掛けていたアスナの口から、そんな言葉が漏れた。
壁に背中を預けていたアーチャーも、その一言でアスナに目を向ける。
「――――あの時、アーチャーの言う通りにしておけばこんな危険なことなんて起きなかったのに……私、ついカッとなっちゃって、目の前が見えなくなった。本当にごめん」
アスナの口から再び謝罪の言葉が紡がれる。
アーチャーはアスナのその言葉を聞き、表情を読み取ると冷静に語り出した。
「君が謝る事は無い。止めきれなかった私の責任もある」
アーチャーがアスナに慰めにも似たような言葉をかける。
自分にも責がある。
そう、アーチャーは自嘲した。
「でも、私……!」
「それに、悪い事ばかりでも無かった」
私の声を遮るように、アーチャーは再び語り出す。
「ランサーの真名を突きとめる事が出来た。これは今後の戦いでかなり優位
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