第十九話 覚悟
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
弓兵だが……」
「抜かせ。たかが弓兵ごときが俺の槍を防ぐほどの盾を持ちだすか」
ランサーの声にまたしても怒気が奔る。
彼の言葉からして、自分の切り札を放ったのだと思う。
それを防がれたら、苛立つのも当然だろう。
だけどアーチャーは、フッと笑い口を開く。
「だが、この様だ。私が持ち得る最強の守りだったのに、腕をやられアイアスも破壊された」
「――――――――――――――」
軽口をたたくアーチャーをランサーはジッと睨みつける。
「だが……それ相応の収穫はあったぞ、ランサー。
―――――なるほど、ゲイ・ボルクか。其れが貴様の宝具……と言う訳だな』
アーチャーの言葉に再び、ランサーの表情に怒気が込み上げる。
――――――ゲイ・ボルク。
確か聞いた事がある。
ケルト神話に登場する伝説の槍だった気がする。
そしてその担い手は……
「アイルランドの光の御子《クー・フーリン》か」
虚空から声がした。
急いでそちらに顔を向ける。
私が視線を向けた場所。
そこには、先程姿を消したサーヴァント……アサシンが立っていた。
「呵々々々、成程。これは思わぬ収穫よ。まさか敵の一体の真名が分かるとは」
笑いながら饒舌に語るアサシン。
だけど、私たちにとっては笑えない状況になってしまった。
アーチャーは満身創痍で、もはや戦える状況では無い。
ランサーには目立った傷も無いし、アサシンに至っては無傷同然。
このまま再び三つ巴の戦いになってしまえば、真っ先にやられるのはアーチャーだ。
「――――――――――」
「…………………………」
「--------------------」
沈黙が続く。
三人が三人とも、無言を貫く。
「――――――チッ」
沈黙を破ったのは、ランサーの舌打ちだった。
「真名を知られたのがアーチャーだけだったなら、そいつだけを仕留めれば良かったが
―――――アサシンにまで知られちまうとはな……」
ランサーが毒づくように吐き捨てる。
「どうするお嬢ちゃん。このままアーチャーの奴を片付けるのは簡単だが――――――」
「呵々々々々、儂をどうする……か」
ランサーが話している所にアサシンが横入りする。
アサシンは至極楽しそうに笑い。不快そうにランサーが顔を歪める。
「儂は、このまま仕切り直して拳を交えるのも良いが……」
「………………」
問いを投げられた、ランサーのマスターである少女は、何か思いつめた表情で三体を見つめている。
「……退こう、ランサー」
彼女は影を落とした表情でそう言った。
ランサーは無表情で少女をチラリと一瞥すると、再び視線を戻す。
「―――――まあ、ここら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ