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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
喰い合い
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られた鼠は猫をも噛む。だけどこれには別の見方もある。《追い詰められた鼠は、自分の身に猫をも凌駕する力があることを知る》、という風にね。ま、にーちゃん達に次回はないんだけど……」
レンの言葉が終わると同時にヴン、という小さな音とともに二つ目の黒球がレンの右肩の上に出現した。
それをゆっくりと見回し、レンは呟くように言う。
「新しい攻撃プログラムを構築した。これでお前等を────」
────を助けるのを邪魔する奴等は、すべからく死を。
その思いとともに、レンは言う。
「コロセル」
魔女狩
(
ソルシエール
)
《
残忍
(
ブルタール
)
》
ボボッッッ!!!
避けるとか、避けられないとか、そういう次元ではなかった。
レンという名の紅衣のケットシーの双肩に浮かぶ、二つの黒球の形が突如として変形した。丸い球から、途轍もなく細長い漆黒の槍へと。
気が付いたら、リョロウとセイの身体はソレに貫かれていた。リョロウは右太腿。セイは左脇腹。
直後、灼熱の熱感が、それぞれの部位を貫く。
「がッ!!」
「くッ!!」
凄まじい痛覚が脳裏に瞬くが、しかし戦闘経験ならば常人の中でも飛び抜けている二人だ。
咄嗟にそれぞれの得物にありったけの心意を纏わせ、ソレを寸断する。
切断された本体ではない方は、空中に溶け去るように消え去る。
「リョロウッ!心意防御ッッ!!」
「わかってる!!」
怒鳴り返すように返事をしたリョロウは、すぐさま意識を己の深部へと向ける。口から自然に漏れ出る、力ある声。
「《
神聖領域
(
セイクリッド・テリトリー
)
》ッッ!」
途端、両手のひらから溢れ出す蒼色の光の本流。それは見る間に形を変えると、二人の前方を守る円形の巨大な盾と化した。
それとほぼ同時に、ドシャッ!!という鈍い音とともに姿を変えた黒球が、真正面から激突した。
先程、容易くアバターの身体を打ち抜いたそれは、今度はリョロウの心意防御技に阻まれた。
内側から見ている光景は、何と言うのだろうか。例えるなら、透明なガラスに真っ黒な墨をぶちまけるのを内側から見ているような。何も手応えがない、そんな感じ。
受けたリョロウさえも、眉をひそめた。
「何だ……?手応えがない」
その時、セイはあることに気が付く。
二人の背後、リョロウの心意盾に阻まれて飛び散った黒球の欠片達が、不気味に蠢いているのを。
嫌な予感がした。
「リョロウッ!後ろっッ!!!」
「───────ッッッ!!?」
神速と言えるべき速度で振り向いたリョロウは、咄嗟に左手を突き出す。そこから光の波動が溢れ、空間に浸透してそれらの進路を防ぐ。
ゴガガガガガガ
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