星屑の覚醒
4 絶望の理由
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だが口から飛び出した言葉は彩斗を奈落の底に突き落とした。
「先生から伺いました。あなたが美弥をここまで追い込んだそうですね?あなたが厄介な連中に絡まれているのを美弥が哀れに思い助けようとした結果、こうなった。あなたがいたせいで」
「.....」
彩斗は激しい怒りが込み上げていた。
何となくこうなることは分かっていた。
教師が被害を加えた不良よりも自分を悪人に仕立てようとしていることくらい。
だが実際に目の当たりにしてみると、大分、ショックが大きかった。
「今後、娘には近づかないでください。それとこの件に関しては、訴訟を起こすつもりです」
「...実際に手を下した不良たちよりも...僕を責めるんですか?」
「ええ、あなたは彼らにやられたと言い張っているようですが、実際はあなたがやったのかもしれない。手の込んだ自作自演という可能性だってあるわけです」
この言葉で彩斗の中の何かが壊れた。
もう自分でも何をしているのか分からなかった。
勝手に足を一歩踏み出し、拳を固め、思いっきりミヤの母親の頬を殴りつけていた。
「!?キャァァァ!!」
「ふざけるな!!!...ミヤは言ってた...あなたに暴力を受けているって...あなたのことなんて大っ嫌いだって...彼女は自分のように暴力を受けている人間を助けようとしていた。僕を助けたせいで、ミヤがこうなったって言うなら、あなたのせいでもある...!」
彩斗はそう言ってメリーの手を引きながら自分の病室へと戻り、ベッドに倒れ込んだ。
メリーも正直、気が動転していた。
あそこまで怒りに支配された彩斗見たのは初めてだった。
彩斗はベッドに顔を押し付け、泣き始めた。
「...ミヤ...ゴメン...僕のせいだ...僕が...」
「サイトさんのせいじゃないですよ...もうこの街では誰も頼れません...私ももう分からない...何が正しいんですか?何を信じたらいいんですか?」
メリーは彩斗の横に倒れ込み、彩斗を抱きしめた。
思い知らされたのは自分の無力さとこの街での個人の意志の無力さ。
1人で騒いでも何も変わらない。
この街では国家権力も通用せず、司法は堕落し、正義の基準となるものが働かない。
正しい意見が認められずに蔑まれ、間違ったものが認められる。
涙が止まらなかった。
悔しすぎた。
激しい怒りと殺意が込み上げ、全身の骨が軋む。
体へのダメージから来る痛みではなく、心的なものだ。
心へのダメージは体をも傷つける。
自分が悩めば悩むほと、苦しめば苦しむほど体は悲鳴を上げた。
午後10時。
メリーは用意された布団で床に寝ている中、面会の時間は終わっているというのに、彩斗の病室には来訪者が現
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