第捌話『子猫と雨』
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らさ、俺が飼ってやろうか…?」
「……えっ?」
俺の少し驚いた様な声を出し、キッチンにいる俺を見る。
「学校がある日のエサは真琴さんに頼んでみてさ。そうすれば、愛も自由に会いに来れるからいいんじゃないかなぁって」
「………それだ」
子猫と俺を交互に見ながら呟いた。
「で、でも、良いのか?」
「ああ、構わないよ。澪も喜ぶだろうし」
今朝みたいに澪の光悦した顔が目に浮かぶ。
「そうか……良かったなお前。ここに住めるって」
そう言うと猫が嬉しいのかどうか解らないが「にやあぁぁ」と甘えた様な声を上げた。
「そんだけ喜んでくれるなら決心したかいがあるな……よし、出来た。ほら愛。何時までも、遊んでないで運んでくれ」
「わかってるって」
猫をソファーに置くが愛の後をトコトコと付いてくる。
「お前の分はこっちだ」
別の皿に、猫用缶詰を乗っけて置いたやる。すると、勢いよく食べ始めた。
「んじゃ、俺たちも食うか」
「ああ」
◇◇◇◇◇
その後、真琴さんの了解も得て正式にウチで飼うことになり、そして猫の名前は『ラブ』と決まり、おじさんが帰ってくるまでは愛の方で面倒を見ることになった。
そして――
「あ、もしもし。胡蝶?2−1の雄介だけど」
『あら、雄介さん。珍しいですわね、どうかしました?』
俺は、生徒会副委員長の片瀬胡蝶に電話をしていた。胡蝶とは恋経由で何度か学校以外で顔を合わせた事があるので俺の数少ない知り合いの一人だ。
「あのさ、今日の会議ででたポスター貼りだけど、もう誰かに決まった?」
「いいえ。まだですけど……もしかして、やってくださるんですか?」
「ああ、そのつもりで連絡したんだけど……大丈夫か?」
「はい。ちょうど、どうしようか頭を悩ませていた所ですので助かります」
「そか、それは良かった」
まあ、面倒くさいから誰もやりたくないよな。
「それでは、明日ポスターを取りに来ていただいてもよろしいでしょうか」
「ああ。放課後でいいよな」
「はい。それでは、お待ちしています」
電話を切り「ふぅ〜」っと息を吐く。何か胡蝶と話すと緊張するなぁ。まあ、恋と違ってバリバリのお嬢様だもんな。いや、恋も超が付くほどのお嬢様なんだけど、普段を知ってるから接しやすい。肩っ苦しいのはあまり好きじゃないんだよね。
さて、勝負は明日か…。
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