第捌話『子猫と雨』
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中身を取り出す愛。長い棒の先っちょから紐がのびて、その先には丸い物が付いている。つまりこれは――
「モーニングスター?」
「何処をどう見たら打撃用の武器になるんだよ」
まあ、形は似ているが…。
「猫じゃらしだよ。商店街で特売してたんだ。猫と遊ぶときにでも使ってくれ」
「へー、こんなのあるんだ。この後、試して…………ってえぇえええええええっ!?!?」
「愛。声が大きいわよ。近所迷惑になるから静かにしなさい」
真琴さんに注意されハッとして口を手で押さえた。
「ど、どうして猫を拾ったこと知ってんだよっ」
「ん?ああ、実はお前が猫拾ってるところたまたま見てたんだよ」
「な、なんだよ、声ぐらい掛けろよっ」
「いや、何となくかけないほうがいいかなって」
本当は愛の笑顔に見とれていたとはさすがに言えない。
「そ、それより、今日はウチに来るのか?」
「え?うん。後で、猫連れて行くつもりだったけど」
「そか。じゃあ、晩飯作って待ってるからな。何がいい?今日はお前の好きな物作ってやるぞ」
「えと………じゃあ、ハンバーグ」
「ッ!?」
「ユウ?」
「あ、いや。ハンバーグだな、作って待ってるからな。それじゃあ、お邪魔しましたっ!!」
脱兎の如く愛の家を飛び出した。なぜ、こんなにも焦ったのか自分でもよく分からなかった……いや、理由は解っているからこそあえて一人になりたかったんだろう。
「………さて、買い物にでも行くか」
少し雨に打たれてから再び商店街に向かった。
◇◇◇◇◇
「………でさ、愛」
「ん〜?」
「その、猫。どうする気だ?」
ソファーで猫と猫じゃらし(モーニングスター)で遊んでいる愛に尋ねた。
「どうするって?」
「飼うのかその猫」
「……いや、ウチは無理だから」
「だろうな、誠さんアレルギー持ちだもんな」
「うん。だからさ、新しい飼い主探さそうかなって」
「なら、知り合いに頼んでみるとかどうだ?」
「アタシの知り合いに子猫を任せられる様なヤツがいると思うか?」
いないな、うん…。
「……で、他に目星はついてんの?」
「クラスのヤツらとか、商店街の知り合いとかに聞いてみようと思う。それでダメならチラシを作って、貼るとか」
「ふーん…で期限は?」
「今週末」
「後4日くらいか……正直飼い主を見つけるのは難しいな」
「そーだよなぁ、はぁ〜あ……どうしよ…」
子猫をだい抱いてコロンとソファーに寝転がる。
「……それな
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