第捌話『子猫と雨』
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いた。
◇◇◇◇◇
「やれやれ、今日は大変だったなぁ」
歩きながら一人呟く。いつもなら、晩飯の献立など考えながら帰るんだけど今日はそんな気分になれない。
まあ、愛が手伝うなんて元々難しい事だからななんせ彼女は、最凶校・稲村学園のヤンキーのリーダー……つまり一般人とは住む世界が違うと言うわけだ。
まあ、俺は身内と言うこともありそんなことは思ったこともないが、思うのが普通だろうな。
「はぁ〜……ん?あれは」
遠目だが愛の姿が見えた。雨の中傘も持たずにその場に立ちつくしていた。
傘、忘れたのか?いや、それはないか足下に傘が置いてあるし。
「これで……っと、ダメだ。風が強すぎる」
ころころと風に飛ばされていく傘を掴んでは足下に戻していた。ずぶ濡れになってなにやってんだあいつはと思っていると…。
「ふにぃ」
子猫が、顔を覗かせた。そう言えばここって今朝猫を見つけた場所だ。考え事をしていたせいで気が付かなかった。
「……どうすっかな」
雨避けを作ろうとしているみたいだが風に流されて上手くいっていない様子だ。
「にゃああ」
「そんな顔するなよ。うちは無理だから」
「にぃ……」
残念そうな声でなく子猫。基本的に愛も真琴さんもは動物が大好きなのだが誠おじさんがアレルギーを持っているため飼うことが出来ない。そのおじさんも超が付くほど動物好きなんだけど。
「……ったく、しょうがねーな。2,3日だけだぞ」
しばらく迷った末、愛は傘を拾い、同時に猫も抱き上げた。結局連れて帰ることにしたようだ、愛らしいな。
「にいい」
「……はいはい」
柔らかい笑顔を浮かべてその場を立ち去った。俺は、その光景を眺めていた。
◇◇◇◇◇
ピンポーンッ
「はーい。あら、ユウくんいらっしゃい」
「ども、真琴さん。愛いますか?」
「今、部屋に居るから呼んでくるわ。ソファーにでも座って待ってて」
「はい。お邪魔します」
愛が子猫を拾う現場を見た俺は、商店街によって買い物を済ませた後愛の家を訪ねた。手には先ほど商店街のとある店で安売りしていたものだ。今後、愛には必要になるだろう。
「おまたせ、何か用?」
数分後、愛が来た。若干服などが乱れている。恐らく、猫と遊んでいたのだろう。
「いや、たいした事じゃないんだけど、これを渡しとこうと思ってな」
袋を愛に渡す。
「何これ?」
「見てみれば分かるよ」
「なんだろ……」
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