第捌話『子猫と雨』
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せないとっ!
「おい、みんないい加減に――」
「楽しみじゃねーよ!」
愛の声が教室中に響き渡る。その瞬間、周りで騒いでいた他のクラスメート達も静まりかえる。
周りに注目されている恥ずかしさが怒りへと変わってしまった。こうなったら、俺ですらどうすることも出来ないただ流れに任せるほか無い。
「えぅっ、で、でも図書館で」
「あ?」
鋭い眼光で睨み付ける。俺ですら、一瞬足が竦み上がってしまった。
「ひ……っ。でも、でも」
「……」
「……なんでもないです」
睨み続ける愛の迫力に負けてそれ以上何も言えなくなってしまった未唯。
「チッ……クジで当たったから気になっただけだよ」
舌打ちして背を向ける。
「あのっ、辻堂さ――」
委員長が引き留めようとするが…。
「しつこいぞ」
「ひぅっ」
睨まれてそれ以上引き留めることは出来なかった。
愛が出て行った後は、なんかもう散々たる状況だけが残された……っと、それより未唯は大丈夫か?
「未唯。大丈夫か?」
「う……、うぐ。雄介く〜ん……」
すっかり怯えきっており半泣き状態でその場に立ちつくしていた。
そんな、未唯に対して泣いている子どもをあやすように頭を撫でた。
(はぁ〜、やれやれ。こりゃあ面倒な展開になってきたな)
別にクラスメート達が悪いわけでも無いましてや愛が悪いわけでもない。しかし、こんな事が起きてしまった以上愛が表立って準備を手伝うことが出来なくなってしまった。一番なって欲しくない展開だ。だが、起きてしまったことはどうすることも出来ない、何か別の方法を考えるか。
「落ち着いたか?」
「う、うん。ありがとう雄介君」
「よし、それじゃあ俺は会議に行ってくるよ。行こ、委員長」
「あ、はい」
委員長に声を掛けて教室を出た。
◇◇◇◇◇
会議は特のに仕事もなく15分くらいで終了した。『町にポスターを貼るから立候補を募る』とのことだが、誰も立候補しなかった。
そんで、来週の火曜日、3会前日に海の家の運営を俺達でやるので手続きが載ったしをりを火曜までに読んできてくれとのことだ。
ちなみに、愛の分のしおりは後で俺が渡すことになり代わりに受け取った委員長から受け取った。
「雨か……結構降ってるな」
昇降口を出ると雨は本降りになっていた。
「委員長。傘持ってきた?」
「母が迎えに来てくれるので大丈夫です」
「ん、そか。じゃあ先帰るな」
「はい、また明日」
傘を広げて一人家路につ
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