第三十八話 狐道その十一
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それでだ、すっと前に出てだった。
小学校を出てみる、そして出た先は。
道路だった、向かい側に中等部が見える学園内の道路だった。愛実はその夜の道路を見て隣にいる聖花に尋ねた。
「ねえ、次は何処に行く予定だったかしら」
「ああ、次ね」
「そう、次は何処だったかしら」
「確か中等部のね」
今度はそこだった。
「グラウンドだったわ」
「あそこなのね」
「あそこが狸さん達の夜の集会所なのよ」
「それでそこに行ってなのね」
「そう、泉かどうかね」
それを確かめに行くというのだ。
「そうしよう」
「わかったわ、じゃあね」
「ここも泉じゃなかったから」
それでだというのだ。
「また次ね」
「そうね、また次よね」
「何か慣れたわね、駄目でもね」
「次があるってね」
「最後は絶対に見つかるっていうのは間違いないから」
その為だった、愛実は今回もさばさばとしていた。
「だからね」
「次に行けばね」
聖花も言う、そしてだった。
愛実に顔を向けたままこう言ったのだった。
「じゃあ戻ろう」
「狐さん達のところにね」
「そう、それでだけれど」
「揚げね」
愛実は狐の大好物のそれを挙げた。
「お酒と。御馳走になるのね」
「そう、何かもう決まったみたいになってるけれど」
それでもだというのだ。
「行こう、今からね」
「そうね、じゃあね」
「揚げはいいわね、身体にもいいし」
聖花は揚げに対して目を細めさせて語る。
「狐さん達が好きなのも当然ね」
「そうね。どうして狐さん達が好きかは謎だけれどね」
二人はこの理由はわからなかった、しかし好きなものは好きなのだ。
それでこのことはいいとしてだ、愛実はこうも言った。
「きつねうどんもね」
「ああ、それも欠かせないわね」
「薄揚げとおうどんって最高の組み合わせの一つなのよね」
「そうよね、おうどんって揚げものと合うのよ」
「おそばもだけれどね」
こちらもだった。
「合うわよね」
「そうよね、じゃあね」
「よし、戻ろうぞ」
狐は二人に告げた。
「わしが作るきつねうどんは絶品ぞ」
「あんたがきつねうどん作るの?」
「そうしてるのね」
「はじめてうどんを食ったのは何時だったか」
今度は過去を思い出す狐だった、しみじみとした口調にそれが出ている。6
「元禄の頃には普通に食っていたがのう」
「それで今は自分で作ってるのね」
「それじゃあ麺とかおつゆも」
「無論全部わしが作っておる」
そうだというのだ。
「揚げもな」
「それまで自分で作ってるのね」
「本格的ね」
「凝り性でのう。では今から馳走してしんぜよう」
こうして二人は猫又と送り犬と共に狐達の宴に加わった、そして揚げや九尾の狐が作った
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