第4話 昼休み
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」
「なるほどな……でも、かなめはどこに住むんだ?」
「え? 何言ってるのお兄ちゃん? あたしもお爺ちゃんの家に住むに決まってるじゃん。――家族だもん」
「……ですよね……」
なんとなくだけど分かってたよ。
その言葉を聞いて、今後の事を考えて俺は肩を落とす。
ただでさえレキがいるのに、かなめまで一緒に住むとなるとホントにどうなるんだろう。
「ほら、お兄ちゃん。元気出して。それに早く食べないと昼休み終わっちゃうよ。――はい、あーん」
「ん、ああ……あーん――――って、なにちゃっかり食べさせようとしてるんだよ!」
「ちっ!」
俺が気づいた瞬間、舌打ちを器用に可愛らしくするかなめ。これは確実に狙ってきてたな。
……危なかった。あまりに自然だったから、思わず食べる所だった。
俺が油断している隙を的確についてきやがって……ホント、油断のできない妹だな。
「昼飯は自分で食べる。だから箸を……」
「箸なんか無いよ。あたし上手く使えないし」
「だからかなめが使えなくても、俺の箸が……」
「……ごめんねお兄ちゃん。お兄ちゃんの箸、忘れてきちゃったみたい。――だから、あたしのフォークが一本だけあるから、一緒に使って食べよ?」
なん……だと……
「どうしたの、お兄ちゃん? 昼休みはあとちょっとだよ。早く食べよ?」
(――クソ、やられた!)
真面目に話してご飯を食べさせないで時間を減らし。
フォークを一本しか持ってこないで、弁当の中身はタレであえたモノなどの手で食べるには躊躇うものばかり。
しかも、他の生徒が食べ終わって、自分たちの話しに夢中になり始めて、俺とかなめの事を気にかけなくなる時間帯。これで周りの視線がどうだのという理由での打開方法が取り難くくなった。
これは完全に嵌められた。
さっきのセリフの『フォークが一本』の『一本』を強調してきたことを考えると――今までのこれらすべてが、かなめの作戦だったのだ。
「食べないの、お兄ちゃん?」
……どうする。流石に購買まで箸を取りに行ってたら昼休みが終わる。……っていうかそれ以前に箸だけをくれるか分からん。
(かなめからフォークを奪うか……?)
いや、ヒステリアモードでも無い俺にかなめからフォークを奪える可能性は、かなり低いだろう。
それに下手すりゃ、女子を――しかも妹を襲ったと勘違いされて、退学ならまだしも警察に逮捕されかねん。
……結論は……
(……つ、詰んでやがる……!)
そう、将棋に例えるならもう『王手』なのだ。
手で俺が食べようにもかなめが何か実行してくるだろう。
口で説得しようにも人工天才に勝てるはずもない。
他にも食べないなど言ったり、
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