第4話 昼休み
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
教科書を受け取り、数時間の授業を終えて昼休み。
また音のせいで何回も反応しそうだったのだが……そんな中、後ろからかなめがモールス信号で話しかけてきた。
しかし、授業中なので後ろを向くわけにはいかない――なので、かなめに音を鳴らす指の動き(実際は鳴らしてないが)を見せて話していた。
お互いに音を気にしない為とはいえ、一般高校に来てまで妹とモールス信号で話しを授業中にするとか、やはり普通じゃないな。
ちなみに授業の間に合った休み時間に、クラスメイトが何回か話しかけてきたのだが……かなめのおかげでなんとかコミュニケーションが取れて、一応会話は休み時間が終わるまで続いた。
かなめも俺と同じくらいの知識のはずで話す話題が無いのだが、人の話しを聞くのと話題の返し方がやたらと上手かった。
そしてそんなことがあり、多少は疲れたが……アリアに一日中追われた時よりマシな疲労感を抱えながら昼飯をどうしようか考えていると――
「お兄ちゃん、一緒にご飯食べよー」
後ろから可愛らしい声をかけられた。
「別に良いが……何を食べるんだ?」
「えへへー、実はお弁当作ってきたんだー」
そう言ってお弁当を出そうとするかなめを俺は、
「他の場所で食べないか?」
食べながらかなめに聞きたいことがあった。それには場所が悪すぎる。
「じゃあ屋上に行こうよ。さっきの案内の時にお昼は使っていいって言ってたし」
「ああ」
「はい、お兄ちゃん。愛妹弁当だよ」
「なんだ愛妹弁当って……、そんなことよりさっきモールスで話した通り、かなめがこの東池袋高校に転校してきたのかを教えろ。お前結局、『あとでね』の一言で終わらしただろ」
「お兄ちゃん、非合理的ぃー。せっかく兄妹水入らずなんだから、そんな些細なこと気にしないものだよぉ」
かなめと一緒に屋上へ来てみると人が少し居たが、なるべく人のいない所にある椅子に座った。
レキも誘おうと思って、レキのクラスにも行ったんだが……なんとレキの奴、クラスの女子たちに囲まれて『カワイイカワイイ』なんて言われていた。
とてもじゃないが、そんなところに誘う勇気は無く、しかたなくかなめと二人で昼飯を取ることにした。
そしてかなめが作ってきた弁当を広げたんだが……また非論理的な造語を声高らかに喧伝しやがって。
今のセリフで何人かの生徒がこっちに振り向いて見てきたじゃないか。
「誤魔化すなよ、かなめ」
「もう……分かってるよ、お兄ちゃん」
かなめはさっきまでの声のトーンと大きさを他の生徒に聞こえないほどにして、真面目な顔になる。
俺もかなめの転校してきた理由を話すのを、少しから
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ