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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第1話 「ザ○とは違うのだよ。ザ○とは」
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い」
「自由惑星同盟……叛徒どもの事をそのように呼んでも」
「ブラウンシュバイク公爵。いや、オットー。建前はどうであれ、我ら三人は現実を見ようではないか。叛徒と呼んではいるが、奴らは国を運営しているのだ。敵をまともに見ようともせずに勝てようはずもない」
「それは確かに」

 リッテンハイム侯爵が額に浮かんだ汗を拭いつつも、返事を返してくる。ブラウンシュバイク公爵の方はなにやら真剣に考え込んでいる。
 内心ではどう答えたものかと思っているのだろう。
 しかし現実を直視しなければならない。今のままではダメだ。
 それだけは確かだ。
 戦わなきゃ、現実と。

「まず持っていっておくが、私が皇帝になった暁には、貴族に対する課税も視野に入れている」
「なっ」
「そ、それは」
「貴族に対する課税は息を飲むほど、衝撃を受けるものなのか? そうでなければ立ち行かんところまできているのだぞ。卿らもうすうす解っているはずだ」
「しかし貴族達の反発は必至でございましょう」

 リッテンハイム侯爵が言ってきた。
 この髭が。ちっとは現実を見ろ。貴族どもの思惑だけで進むと思うなよ。

「だからこそ、帝国でも一、二を争う大貴族である卿らに話しているのだ。知恵を出せと」
「貴族は帝国の藩屏でございますぞ」
「ならばそれにふさわしい働きを見せてもらおうか。それとも俺を暗殺するか? かまわんぞ。だが自分達に都合のいい皇帝をつけてみても、帝国そのものが自壊してはどうしようもあるまい。話はそこまで来ているのだ」
「殿下を暗殺など」
「そのような事は決して」
「私は卿らの帝国に対する忠誠心を信じている。信じてはいるが、それだけではなく、わたしの持っている危機感をも共有して欲しいのだ。これからも続く帝国のために」

 ■ノイエ・サンスーシ 皇太子の間 オットー・フォン・ブラウンシュバイク■

 リッテンハイム侯爵とともに皇太子殿下に呼び出された。
 それ自体に不自然なところはない。
 義兄弟でもあるし、皇太子殿下としても我らと交わる事で、地盤を強化しようとしているのだと思っていたからだ。
 だが皇太子の口から出た言葉に、背筋が震えるほどの衝撃を受けた。
 帝国の現状。
 それは我らが認識している以上に、切迫していた。
 人、金、物。何もかもが足りない。
 行く末も暗い。
 長きに渡る戦争と我ら貴族が帝国を蝕んでいる。
 これから目の前におられる皇太子殿下は、貴族達をいかに淘汰していくかを考えておられる。生き残りたければ協力しろと突きつけているのだ。
 目の前にいるこのお方は、先を見ている。
 銀河帝国の未来だ。門閥貴族として一家のみの繁栄を求める事を、このお方は許しはしないだろう。暗殺してもよいぞ。と嘯かれたが、代わりに
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