第二幕その十三
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ザックスの歌は続く。
「御前の若気のいたりで私は針と糸を操らないとならない」
「その割には楽しく歌っていますな」
「アダムの気弱のおかげで靴底を打ち樹脂を塗る」
ベックメッサーの嫌味をよそに歌うザックスだった。二人はそんな彼を見ながらまた言うのだった。
「よくないことが起こりそうだわ」
「私の可愛い天使よ」
不安になるエヴァをそっと抱き締めるヴァルターだった。
「どうかここは」
「不安になってしまいます」
「私は貴女が側にいてくれるだけで」
いいというヴァルターだった。しかしザックスの歌はそうした彼の浪漫をよそにさらに続くのだった。
「これでもわしが天使にならなきゃ悪魔が靴屋になる」
「それはいいのですが」
ベックメッサーはたまりかねたようにまたザックスに声をかけてきた。
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