第11話 耳元で甘く囁くのは魔物だそうですよ?
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
始め、
彼女を中心にした直径三メートルの円内は、一切の不浄を受け付けない聖域へと変化した。
そう。美月の霊力の高まりに応じて大気が熱を帯びて行く。
次の瞬間。それまで何も存在して居なかった左手と顎に当てた右手との間に、強い光を放つ光の線が現われ……。
そして、次の瞬間!
光が弾け、妙なる鈴の音にも似た澄んだ音色が周囲に鳴り響いた。
すべてを無かった事にする。
バンダナの青年が発する抗い難い誘い。
そして、その声に重なる、ふたつの笛の調べ。
高く流れる笛の音に重なる、低く連なる響き。
ふたつの異なった笛に紡ぎ出される音階が、リューヴェルトの周囲をゆっくりと旋回し、
その単調な音階が大地から湧き上がる螺旋を作り上げる。
そう。ここは龍穴。ここを抑える事は龍脈全体を掌握される事にも繋がる。
完全にこの龍穴を掌握されて仕舞うと、ハクや美月たちが行おうとした龍脈の置き換えが為せなくなり、そして、彼女らの住む村が……。
死の森に呑み込まれて仕舞う!
また、多くの人が――――
そう考えた瞬間、心の奥深くに発生する光。本当にその微かな光がもたらせる物、それは希望。
そう。そんな事が出来る訳はない。今、この場でリューヴェルトが自らの過去の修正を行うためにここから消えると――――
その性でまた、多くの人の生命が!
「そんな事が出来る訳がない!」
刹那、周囲が真っ白に塗り潰された。
それに続く、数多の鈴の音が一斉に奏でられたかのような楽音。
そう、それは響き合い、重なり合い、お互いがお互いに因り増幅され、闇の向こう側から響くふたつの横笛の音階を吹き飛ばした。
その瞬間、リューヴェルトを縛っていた何モノかの呪縛が消え去る!
距離にして五メートル。正に爆発的、と表現すべき勢いで最初の二歩進む間に一気にシルファイドにふたつのカートリッジをリロード。
その次の一歩で半身に構えた瞬間、片刃の長刀が紅き炎を纏う!
それをリューヴェルトは自在に制御できるのだ。冴えた視界でバンダナの青年の動きを確認し、皮膚の感覚で、自らの背後に存在したはずの天敵が、既に上空より飛来した光の矢にて無効化された事を知って居る。
「竜炎一閃!」
強大な魔力により生み出された紅い一閃がバンダナ姿の青年を両断。その余波が青年の背後に存在する空間を切り裂き、森の妖樹たちを上下に切り裂いて行ったので有った!
☆★☆★☆
東より立ち昇る蒼き龍気に呼応するかのように、西からは風を纏いし龍の気が立ち昇る。
南より発するは、紅き炎。そして、北方より立ち昇ったのは水の龍気。
本来、この巨大な大自然の気に等しい龍の気を美月
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ