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ストライクウィッチーズ1995〜時を越えた出会い〜
第二十二話 五十年後
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もなんともないのかもしれない、と。

「沖田さん? 隊長さんが面会にいらっしゃってますよ」
「あ、そうですか……」

 軽いノックをしてドアを開けた看護婦の声で、わたしは思考の縁から意識を引きもどした。隊長が面会に来たというのであれば応じないわけにはいかない。わたしは簡素な診察衣の襟元を整えて待った。ややあってから廊下の奥から足音が響いて、わたしの病室の前で止まった。

「どうぞ。あいています」
「……失礼するぞ」

相手はやはり隊長だった。見舞い品の果物籠をベッド脇のテーブルに置くと、隊長は小さな椅子に腰かけて大きく溜息をついた。普段は滅多にそんな様子を見せないから、わたしはそれが少しだけ意外に見えた。

「久しぶりだな、沖田。身体の方はもういいのか?」
「隊長……すみません。ご心配をおかけしました」
「気にするな。お前が無事ならそれでいい」

 こうしてみると、隊長も意外と坂本少佐に似ているかもしれない。綺麗な黒髪を一つに束ねて、男勝りな口調で話す隊長の姿がそのまま坂本少佐に重なった。

「部隊の皆も心配している。今は回復に専念しろ」
「了解です。……あの、その荷物はなんでしょうか?」
「ん? ああ、これの事か」

 やや疲れの見える顔で隊長は言うと、持ってきた紙袋を掲げて見せる。パンパンに膨らんだそれは、どうやら私宛のものらしい。

「今日はお前に渡す物があって来たんだ。随分と量があるが、いいか?」
「え? ええ、構いませんが……」

 殺風景極まる病室だ。むしろ持ち込んで貰える物がある方が賑やかでいい。
 そう思ったわたしは、隊長が抱えてきた紙袋を受け取った。チラッと中を見てみると、千羽鶴や色紙、タオルや替えの下着などがこれでもかというほど入っていた。多分部隊の皆がわたしを心配して送ってくれたんだろう。入院生活で必要なものが一通り入っていた。

「わたしも上との連絡が忙しくてな。あまり長居はできないんだ。また来るよ」
「はい、今日はありがとうございました」
「きちっと回復して早く復帰しろよ」

 面会時間にも制限はある。それだけ言うと、隊長は外で待っていた看護婦に会釈をして帰っていった。きっと事後処理なんかで忙しくしているんだろう。

「――ああ、もう一つ大事なことを忘れていたよ。ほら、これだ」
「わ、わわわっ!?」

 去り際に後ろ手でドアを閉めかけた隊長は、急に何かを思い出したように立ち止まると、掌大の小包を放って寄越した。慌てて受け取ってみると、見かけによらずそれなりに重さがある。綺麗なラッピングがしてあって、ご丁寧にわたし宛に名前まで書いてあった。
 何ともおかしなことに、流麗な筆記体で書かれたわたしの名前は、扶桑語ではなくてブリタニア語であった。

「今開け
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