学校長の思惑
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、戦場の戦術だけを見るにしても、戦闘がスムーズに進む事などあり得ない。
だからこそ、人間の不確実さを入れるために多人数による戦術シミュレートを提案したのだが。
それをイベントとして開催するって、馬鹿か。
いや、間抜けなのは自分の方なのだろう。
彼はあのヤンが在学中に戦史研究科を廃止するにあたり、反対運動の懲罰に資料の整理をさせた機転がある。こちらが無理だろうと提案しても、それを可能にすると考えなかったこちらの負けか。
「そう言えば去年から戦術シミュレーターの更新があったよね。きっと多人数で対応できるようにしたんだろうなぁ」
「そんな予算があれば、前線の装備を整えてもらいたいね」
「またそんなことを言ってさ。戦術シミュレーターが新しくなるのは良いことじゃない? 反応も早くなったし、実際の戦闘に近づいたって話だよ」
「近くなったとしても、実際とは違うだろう。結局は戦闘は人が行うものだ。自分の優位に戦闘が推移するわけでもないだろう。間違えだってあるだろうし、人の個性だってある。自分の思い通りに動かせるのなら、三次元チェスと何ら変わりない」
「だから多人数性を提案したんでしょう?」
何を言っているのだという視線で見てくるスーンを殴りたくなった。
「確かに言ったが――不可能だと思ったからな。と、いうよりも」
戦術シュミレート大会の告示を見せながら、アレスはため息を吐いた。
「五年生が司令官、四年生が総参謀長――三年から一年までが分艦隊司令官」
そこには戦術シュミレート大会の要旨が書いてある。
最上級生が総司令官となり、全ての命令を統率するとともに五千隻の艦隊が与えられる。
その次の四年生が総参謀長として、作戦指揮の参謀として意見具申を行うと共に四千隻の艦隊を指揮する――残る三学年が分艦隊司令と幕僚を兼務して、二千隻ずつの実際の艦隊運動を指揮する。
実際の分艦隊司令は二千五百隻から二千隻であるから、全てが実際にそぐしていないと言えばそうだろう。だが、今までの戦術シミュレーターでは総司令官が同時に一万五千隻を動かしていたのだから、総司令官は他の艦隊に対して、どのような考えがあったとしても実際には動かせずに、指示だけしかする事が出来ないと言えば大きく改善されたのかもしれない。
「たったそれだけで実際の戦闘に繋がると思うのか?」
自分の考えが実際の艦隊運動に繋がらないのだ。
だが、それを言えば――艦隊司令が指示を出すのは、それぞれ艦隊の艦長であって、さらに言えば操作するのは艦隊の操舵士であり、砲術士だ。
もし砲術士が居眠りをしていれば、効果的な砲撃などできるはずもない。
その場合にはどうするのか――総司令官にはそれが求められると思うのだが。
中途半端に意見が採用された事に、アレスは
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