学校長の思惑
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で少しでも実際の実情を見たいと……」
「文章自体に粗雑なところはありますが、十五歳の子供が書ける意見ではありませんね。学生では無理でしょう――となれば、親類縁者に頼んだのか。課題とは言え、それを第三者に書かせたとなると問題となりますな」
「だが、私がこれを言い渡したのは昨日の夕方だが。その上、フェーガンには軍人の親類はおらん、もっと言えば親類自体がほぼいない。いるとすれば、中等学校から付き合っている恋人がいるぐらいだが」
「その恋人の父親が軍人では?」
「いや、ただの機械工だ。さらに言えば、昨日の夜の通信記録を調べさせたが、フェーガンが外部に連絡をとった形跡はない」
「本人が携帯を隠し持っているかもしれません」
「――この学校から外部に接続された電波全てを調べたと言っているのだが」
強いシトレの口調に、スレイヤーは目を大きく開いた。
「失礼しました。では、本当にこれは本当にフェーガンが書いたのですか」
「ないな。今までのレポートを見る限り、フェーガンはここまで全てを考えられん。というよりも、スレイヤー少将はこれが可能と思うかね?」
「正直無理ですな。有用性はわかります。ただ、学生に訓練を見せるわけにもいかないでしょう。見せた学生が全て卒業するわけではありますまい。そうなれば当然機密保持の面から、公開できるのはせいぜい初歩的な訓練くらいです」
「うむ、だが、それを正直に否定もできん。あるとすれば、訓練を実施する現場の負担となるとか、時間の問題とか表向きの問題になるわけだが」
「表向きの意見に対する反論は丁寧に書かれてますな。録画装置をつけて別室で行うとか……政治家が訓練を見る際にそっと忍びこむとか。御丁寧に政治問題まで絡めて、確かに政治家が見に来た時に学生がいたって現場は苦にしないでしょう」
「まことに厄介なことだな」
そう言いながら笑うシトレに、スレイヤーは訝しげな目を向けた。
「何がおかしいのです?」
「フェーガンがこれを書いたとは考えられん。だが、朝受け取りに行った時に担当がいうには、フェーガンは目が真っ赤だった。おそらく寝てないのだろうな――さらに言えば、同じ罰を与えたアレスも目が真っ赤だったそうだ」
「徹夜ですか」
「アレスは恨めしそうにフェーガンを見ていたそうだよ――十中八九、これはフェーガンの意見にアレスがつけたしたものだな」
「アレスの通信記録も見たのですね?」
「少将が問題視しているように、アレスも外部に連絡など入れていない。さらに言えば、父親と母親は平凡な一市民だ。まあ、その両親は幼いころに離婚して、父親だけと暮らしていたが。それでも、どちらも軍とは何の接点もないな」
スレイヤーはため息を吐いた。
頭痛を隠せず頭を押さえながら、息を吐く。
「では、これを本人が書い
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