罰則
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?」
「アレスはそんな事をずっと考えているのか」
そこで、アレスは唇を小さく上げた。
厳しさを崩して、笑いを浮かべれば――そうだな、まだ十五になったばかりかと思う。
過去の自分も、高校になったころはただ遊んでいた。
そんな考えが形成できたのは、社会人になってからだろう。
ただ、平和ならばそれでもいい。
「そりゃ、君が死ぬところは見たくないからね」
ましてや、彼は既に死ぬ運命が義務付けられている。
そして、艦長という立場上死ぬのは彼だけではないだろう。
だからこそ、ただの馬鹿では困る。
そう思ったことを、フェーガンはどう思ったのだろう。
しばらく彼を見つめ、それでも言葉には出さず、一度頭をかいた。
「もう少し考えてみる」
「嬉しいね。いまの五周でも、俺には十分きつい。それに……今回の罰則に失敗しても、所詮はじゃがいもに怒られるだけですむ」
「また聞かれたらドーソンに怒られるぞ。ところで、何でドーソンがじゃがいもなんだ?」
「ん。じゃがいも士官って有名じゃないのか?」
「そんな話は聞いたこともない」
アレスの疑問に、フェーガンはゆっくりと首を振った。
んと、アレスは小さく指を曲げて唇にあてた。
「なあ、ドーソンは後方主任参謀ってやったことあるか」
「教官の過去までは俺には」
「何も聞いていないか」
原作で、ドーソンが士官学校の教官になっていたことは有名だ。
さらに言えば、第一艦隊の後方主任参謀になってから、じゃがいもと呼ばれ始めた。
だが、その前後を正確に覚えているかといえば、そうではない。
一つ一つまで完全に記憶しているわけではない。
こういうところが、転生者の困るところだな。神様も気を聞かせて、全ての事件について頭に入れてくれればいいのに。
「いや。なら、そのうち楽しみにしておいてくれ」
「さっきの先輩のようなことをいうのだな」
「そうとしか言えないから……お、敗残兵を見かねて、援軍が来たらしいぞ」
ちょうど話題をそらせると、廊下の端で手を振るス―ンがいた。
小さく手を振り返すと、息を切らせながら近づいてきた。
「よかった。遅いから心配してたよ、首になるんじゃないかって」
「こんなことで首になってたら、卒業生が誰もいなくなるさ」
「それはそうだけど、あまりに遅いからさ。と、一緒のクラスだけど、初めまして。僕はス―ン・スールズカリッター。長いからス―ンでいいよ」
「フェーガンだ。キース・フェーガン――キースでいい」
「よろしく。災難だったね、アレスに巻き込まれて」
「逆じゃね?」
「一言多いのはいつものことじゃないか。むしろキースは、無駄な授業を長引かせてくれた英雄だよ」
「確かにほとんど自慢話しかしない
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