第一話 便利屋スコール&ハティ
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眼覚めは軽やかに……と言える感じではなく、やはり泥から無理矢理這い出る感が強かった。
「んが……」
意味の分からない単語を呟いて、脳の覚醒を促す。
脳の起動魔法などがあれば、この世から寝坊という単語がなくなるというのに。だが、この微睡が無くなるのも惜しいと思い、スコール・ブレビスは起床する。
「んん……」
両手を思いっきり頭上に伸ばして、伸びをする。
その解放感に思わず、欠伸をする。
『お早うございます、マスター。今日も寝顔を堪能させていただきましてありがとうございます』
「……寝起きに機械相手から言われてもなぁ……ハティよ」
『マスターはそうかもしれませんが、私からしたらもう……! ハァ、ハァ……』
遠慮なく首から吊下がっている待機状態の十字架をポケットに入れておいた鑢で摩った。
『あ、あた! あたたたた! 愛が! 愛が痛い……! こんな特殊プレイまだ私には早すぎる……!』
「時たま思うが、お前はデバイスだよな? 実は人の脳味噌をAIにした系とか言わないだろうな? 最近の映画とかではそういうのがよくあるが……」
『失礼な。私はAI自体は普通です。そんな人間になりたい! などと中学二年生のような叫びを発することはありません。ええ、そのはずです』
「断言できないブラックボックスめ……」
しかも、無駄に地球から知識を集めやがって。
時々、暇があればネットでそんな事を検索するから、変なウィルスでも入ってしまったのではないかと思うが、まぁ、気にしても仕方がない。
気にする気もないので、とっとと服を着替えて飯だ飯。
寝巻を手早く脱いで、適当に黒のシャツとジーンズに着替えながら、ハティとどうでもいい会話をする。
「そういえば、今日は何故か戦争時代の夢を見てたわ」
『ほう? だから、唸っていたんですか? 唸っていたから起こしませんでしたが』
「貴様……!」
『何ですか? 私は無実です。大体、マスターの寝言がいけない! まさか、いきなりもぞもぞするかと思えば「ん……あ、はぁ……くぅ……」なんて意味深の色っぽさを見せられたらデバイスでなくても発情……あ、待ってください。鑢でそんな角度から削るなんて新感覚……!』
人間味溢れるデバイスであるなどと何度思ったか。
これが、あの師匠のデバイスなのだから恐れ入る。
とりあえず、部屋から出て鍵をかける。
自分が住んでいるのはミッドチルダのマンション。そんなに大きな部屋でもなく、高い部屋でもない。
どこにでもあるマンションの下に降りる。
下には喫茶店がある。
「よう、いらっしゃ───何だスコール。テメェか」
「猫被るんだったら最後まで猫被れよ、フェイ。お前に金を貢いでやっている客は俺く
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