第一話 便利屋スコール&ハティ
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で真っ当な正義感と感性を持っているのは稀だろう。
片方だけならあるかもしれないが、両方となると稀だ。
そして、何よりも職務を果たすためなら、自分みたいなガキで真っ当な仕事とは言い辛い自分も利用している。
まぁ、ただ適当に利用したとか、捨て駒にするようにして利用する人間もいるのだろうけど、この人はそういうタイプではない。
まぁ、そういった人は結構、他人から落とされたりもするのだが、この人は真実頭がいい。
賢いという意味だけではなく、その性格も。
「へっ……こんなおっさん褒めても何もでねーぞ」
「いえ。今回の報酬を出してもらおうかと」
「……」
「……」
『……』
一瞬の沈黙。
そして
「……!」
指を黙って五本立てて、額を示す俺に対してゲンヤは首を振るって指を二本立てる。
何という横暴。しかし、権力に民が屈してはいけない。
視線を強めて五本を出張するが、ゲンヤさんは無言で二本を譲らない。
暫く睨み合いが続いたが引く様子が無い。精神的にこちらが押されている気がして仕方がない。
この膠着状態を続けるのも面白いのかもしれないが、時間は有限である。交渉で時間を失くして依頼されたことが出来ませんでしたではこちらの信用問題に関わる。
舌打ちしたくなる自分を抑えて指を一つ減らす。
そして目配せ。こちらは一つ譲ったぞ、と。
それを無言で読み取ったゲンヤさんは神妙そうに頷き……一気に二本増やした。
暫くの沈黙……
「ぼったくりですわ……」
「若い奴にはまだまだ譲らねえよ」
『そもそもマスターは交渉事みたいな頭を使うのは苦手ですものね。バトルが天職です』
るっせぇと首にかかった十字架を指で何度も弾く。
楽しそうにはしゃぐのでやっぱり止めた。
お茶を飲みながら、愉快そうに笑うゲンヤさんを見て、俺も苦笑を漏らす。まぁ、実際はこの人からの依頼なら少々、低くても不満はない。
依頼に合わせた値段くらいで十分である。今まで出会った大人で一番尊敬できる大人だろうとは思っているのだ自分も。
だから、この報酬のシーンは全部茶番である。面白いからやっているだけである。いや、よければ高く欲しかったが。負け犬の遠吠えとかではないが、うん。
『今夜は素うどんですね……!?』
「舐めんな」
流石にそこまで貧乏してない。
ちゃんと御揚げも付ける。
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