第三十八話 夏の巫女その一
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第三十八話 夏の巫女
景子の家の神社でも夏祭りが行われる、それでだった。
昼過ぎになると神社の道の左右に出店が並びだった、そうして。
五人も景子の部屋で着替えていた、琴乃は制服から巫女の服に着替えていた。
そうしながらだ、こう景子に言った。
「最初はね、巫女さんの服もね」
「自分一人ではよね」
「うん、着れなかったけれど」
それがだというのだ。丁度上を着て袴をはいている。
「今はこうしてね」
「一人で着られる様になったわよね」
「慣れっていうのかしら」
袴の紐を締めながら言う。
「何回か着てると」
「自分で着られる様になって」
「それでね」
しかもだというのだ。
「着こなしよくなったかしら」
「ええ、かなりね」
その巫女の服の専門家の言葉だった。
「いい感じいなってるわよ」
「だといいけれどね」
「大丈夫よ、そんなに気にしなくて」
着こなしはというのだ。
「そっちはね」
「そうなの?」
「確かに綺麗に着ることに越したことはないけれどね」
「それでもなの」
「そう、巫女さんの服っていうだけでね」
それだけでだというのだ。
「皆見るから」
「巫女萌えっていうのね」
「だからそれだけで充分だから」
「着こなしまではなの」
「見られてないのよ。私だってね」
「景子ちゃんも?」
「子供の頃はじめて一人で着た時なんてね」
その時のことを笑って話す、それはどういったものだったかというと。
「両足が袴の片方に入ってて」
「それじゃあスカートよね」
「そうなってたの、けれどね」
「皆気付いていなかったとか?」
「そうなの、誰もね」
こう笑顔で話すのだった。
「それだけ無茶苦茶な着方でクラスの皆の前に出たけれど」
「それでもなの」
「家に着た皆にどうしても着てくれって言われて」
それで着たというのだ。
「その時お父さんもお母さんもいなくて一人で着たけれど」
「足がだったのね」
「皆が帰って脱いだ時に気付いたのよ」
自分でもそうだったというのだ。
「いや、それわかってびっくりして顔が真っ赤になったわ」
「けれど皆気付かなかったの」
「そうだったのよ」
幸いなことにだというのだ。
「そうなったのよ」
「そうなのね」
「そんなのでも気付かないから」
だからだというのだ。
「ある程着られていれば問題ないから」
「安心していいのね」
「今の感じで充分よ」
それでだというのだ。
「大丈夫よ」
「そう、じゃあね」
景子に言われてだ、琴乃も納得した。
そして他の三人も着ていく、その中で。
里香は彩夏を見てそしてこう彼女に言った。
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