第二部 文化祭
第11話 幽霊屋敷
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とりじゃ怖いから俺についてきてほしいと」
アスナは少し不本意だという表情を浮かべ、無言でこくりと頷いた。
「仕方ないなあ……よし、今から行こう」
「い、いい今!? 今からじゃもう暗いわよ、何時だと思ってるの!」
「夕方5時。さあ行こう」
「い、嫌よ! 行くなら、もうちょっと明るい時間に……」
「幽霊調査するのに、暗くなきゃ意味ないだろ。ほら行くぞ。俺、今じゃないとついて行かないからな」
「今行って、わたしがおばけに憑かれて逝かされちゃったらどうするのよ!」
「その時はその時だな。あと、アスナがそう簡単に死ぬわけない」
「ちょっと!?」
*
「へえ、ここが幽霊屋敷かあ……」
「もう! そんな言い方しないでよー、キリト君」
「悪い悪い」
閃光様は怯えに怯えきっておられるご様子で、さっきから俺の背中に隠れている。
俺は屋敷の扉を勢いよく開けた。
「たのもー」
「ちょっとキリト君! ジム戦に挑む某アニメの主人公みたいな発言しないでよ!」
「悪い悪い」
同じ言葉を繰り返す。
一番手前にある部屋の扉に手を掛け、開ける。
アスナが「あっ……」と声を上げる。なにを見たわけでもないようだが、俺の腕を強く掴んだ。
「ん……? なんだ、この部屋……」
部屋はとても広いようで、大きな迷路のようになっていた。狭い道の両側に、扉式のタンスが向かい合って並んでいる。
「変な部屋だね……。怖いよキリト君、今日は帰ろうよ」
「ちょっと行ってみよう」
「あ、キリト君!」
俺は床を強く蹴ると、道に足を踏み込む。なんだかタンスに睨まれているようで不快だったので、走って進むことにした。
その時、タンスの扉が──
「うわ──っ!?」
**
和人は明日奈を置いて行ってしまった。
「うう、キリト君のバカあ……置いてかないでよー」
和人を追いかけたいけれど、恐怖で足が動かない。
その時。
「うわ──っ!?」
和人の声だ。
「キリト君!」
和人になにかあったのかもしれない。それは明日奈とって、なによりの恐怖。幽霊のことなど忘れ、明日奈は和人の声がした方向へ向かった。
暫く走っていると、細いシルエットが見えた。
見間違えるはずもない、和人だ。
「──キリト君! どうしたの!?」
「逃げようアスナ!」
「ええ!?」
和人は目にも留まらぬ速さで走り寄って──いや、なにかから逃げてくると、明日奈の手を掴み、再び疾走する。
──と、和人が急ブレーキを掛けた。明日奈は大きく滑り、床に尻餅をついた。
「ど、どうしていきなり止まるのよ」
「……アスナ……あれ」
「え?」
和人が指差す方向を見る
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