第一物語・後半-日来独立編-
第四十六章 火炎の鳥《2》
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ますよ」
ライタームのその言葉に納得しながらも、あえてそれを口には出さなかった。
素直になれない彼の性格もあるが、楽しい時には何時も彼がいたから。
特別、口にしなくても彼は解っているだろう。
それが互いの仲を深めるもの良いものであって、心を見透かされているようで気に食わないものでもある。
彼とは、お互い一生の友でいると、学勢時代に契りを交わした仲だ。
今もこうしているのも、その契りがあってのことなのだろう。
だから彼は、生きて帰って来た。
●
空を駆ける赤と青の騎神。
青の騎神、戦竜は武器装着部と左腕を失いながらも戦っている。
しかし赤の騎神、火炎ノ緋翼は前とは違っていた。
特徴的なのは、流魔刀によって切断された左腕だ。
赤い流魔によって腕の形を取り戻している。
そして、その腕の先にある手は、まるでものを鷲掴みするかのような四本の爪が生えていた。
機体に付いた傷も、流魔によってかさぶたのように上から覆われている。
お互いは互いの武器を交えながら、高速で戦いを繰り広げていた。
『行ける!』
戦竜は加速機を噴かし、敵機である赤の騎神との距離を積めた。
大気を裂いて、一直線に。
加速機から散る流魔が消える前に、火炎ノ緋翼の元へと行く戦竜は勢いそのままに流魔刀を振るう。
右上からの、左下に駆ける一閃。
「避けろ、緋翼」
火炎ノ緋翼の右肩に乗る入直は、冷静に指示を出した。
指示を受け取り、流魔刀を振りかざす騎神から離れるように加速機を動かす。
降り下ろされる前に左へと動き、丁度頭部それそれを流魔刀が通った。
空気が切られ、鳴く音に耳をくすぐられるなかで入直はすぐに背後を向いた。
背後からの反撃に注意するために。
戦竜は敵を通り過ぎる形で背後に行き、即座に機体を反転させて、強烈な圧を掛けて機体を再び敵機へと向かわせた。
大気が鳴くなかで、迷い無き一閃を放つ。
「頼むよ」
背後を見ながら火炎ノ赤翼にそう言い、機体を反転させる火炎ノ緋翼。
迫る騎神が見えた。
こちらを切りに来ている。
降り下ろされ、左肩から裂くような軌道。
だから火炎ノ緋翼は迫る流間刀を、左手で鷲掴みにした。
『くっ……!』
そのまま力越しに、青い刀身を砕いた。
結晶が割れるような冷たい音を鳴らすなかで、刀身の無い刀を流れを止めずに戦竜は振り抜く。
振り抜く流れのなかで、柄に付いているトリガーを一押し。
新たに生まれる青の刀身。
刃は火炎ノ緋翼の方を向いており、切りに行った。
だが、刃が届く前に戦竜と火炎ノ緋翼との距離は開いた。
火炎ノ緋翼が加速機を戦竜の方へと向け、突き放すように圧を放ったのだ。
後ろに引っ張られる感覚を得ながら、敵か
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