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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第四十六章 火炎の鳥《2》
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を選んだのだろう。
 別に、神の存在を信じない者を貶しているわけではない。
 崩壊世界では神の存在は不確かなのだ。
 どちらにしろ、あの世界ではそうだったのだ。
 創生世界に、崩壊世界で神を信じる者が来たならば、きっと泣いて喜ぶことだろう。
 しかしながら、神とはそんな者達であっても容赦はしない。
 その者達の誰かが、死ぬ運命が待ち構えていたら必ず殺しに掛かる。
 神を信じる者達は神の行いだからと、自ら進んで死にに行くだろう。
 しかしだ。
 しかし、それでは人が神に下ったこととなり、神に平伏したこととなる。
 それでは人が人を支配するとのなんら変わらない。
 神が人を支配する。
 人が人を支配する。
 なんの違いがあるというのか。
 信仰は確かにいいことだが、神に従うことは自分はしない。
 そう、神の言いなりになっては、取り返しの付かないことを平然とやってしまう。
 もう十年は過ぎてしまった。
 一つの村を、この世から消し去ってしまったあの時から。
 神を絶対のものだと信じていた、大人でありながら愚かな考えを持っていた自分自身からも。
 村と言っても数百人は住んでいた、大きな村。
 神から告げられた、異端を滅せよ、と。
 だからその村の者達を一人残らず殺し、一つの名も無き村を滅ぼしてしまった。
 馬鹿だった。愚かだった。
 何故、山積みになった死体を見るまで気付かなかったのだろう。
 これが神のすることなのかと。
 ジスアムは過去の愚行を思い出し、自身に対する怒りから拳を強く握る。
 軋む音が聴こえてきそうな、強い力で。
 雰囲気が変わったジスアムを見て、理解したライタームは彼に向かって言う。
「人類とは皆、愚かな者です。なのに自身の愚かさに気付かず、のうのうと生きている者達は一生気付かないでしょう。愚かさに直面し、そこから成長する者達の抗いを」
「気を遣うな。もう昔のことだ」
「あの行いが正しかったのは言い切れませんが、今の貴方はあの頃よりも成長しています。信じてください、自分自身を」
「いい歳をした者であっても未熟者は未熟者ということだな。ならば立派な大人になるために成長しなくてはな」
「息子さんのためにも、ですね」
「お前は余計なことを言うのが好きだなあ、全く」
 笑い、ライタームは応答する。
 これまでの会話を吹き飛ばすかのように、ジスアムは後から鼻で笑った。
 そして、今だに続く戦いに目をやった。
 彼らもまた、成長しようとしているのだろうか。
 中立国の身だが、敵国の身である者達を思う。
 世界に対して正しい行いとはどんなことなのか。
 子どもの頃から思っている疑問は、まだ解けずにいる。
「俺もまだ、学勢でありたかったものだな」
「楽しいことは大人になってもあり
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