第一物語・後半-日来独立編-
第四十六章 火炎の鳥《2》
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「事態は硬直の一手だけだなあ」
言うのは黄森と辰ノ大花の境界線上、黄森よりに浮かぶドラゴン級戦闘艦であるザ・ウォールの甲板に立つジスアムだ。
船首を南に向けて、東方の辰ノ大花を見ている。
すると横にいるライタームが、辰ノ大花の戦闘の様子が映る映画面|《モニター》を見ながら言う。
「日来勢の一部が結界への攻撃を開始していますが、この調子では壊れるまで相当の時間を有しますね。一方、日来を攻撃している戦闘艦も、本体には大してダメージを与えられていない。やはり防御壁と死角からの魔法術師による攻撃が上手く噛み合い、戦闘艦が不利な状況なのでしょう」
「ふん、そんなもの時間を掛けさえすれば彼方は勝手にくたばってくれる。黄森と辰ノ大花は宇天長の解放終了時まで守り切ればいいのだからな。
しかし騎神は分かるが、何故戦闘機を出さない。戦闘艦は小さいものでも百メートルもある。小回りが利かない分、小さな的である魔法術師は狙えまい」
「狙いは日来の制圧ですからね。戦闘機は制圧力に欠けますし、戦争での活躍は騎神の次ですから温存しているんでしょう。地上にはそれらしいものが見えないので、地下にでも収納してあるんでしょうかね。
それに、日来にあれ程の魔法術師がいたとは驚きです。合成側印度国|《ミックサイド・インドランド》と何か関係を持っているのでしょうか」
映画面から目を離し、ライタームは上空に浮く日来を見る。
ここからでも分かる大きな連結式航空船の周りに、黒の制服を身にまとう者達が飛び交っている。
数にして五十から七十ぐらいだろうか。
よく動き回っているため、正確な数は分からなかった。
「だが今の見物は、やはり騎神同士の戦いだな」
「辰ノ大花の機動力重視実戦訓練機騎神・戦竜と、日来の不思議な騎神ですね」
次に日来から辰ノ大花の上空へと顔を動かせば、青と赤を放つ騎神が見える。
映画面を表示し、望遠鏡モードの自動撮影モードの二つの設定を行う。
すると表示された映画面が二つに別れ、それぞれが前後を行く。
手前に来たのは通常の映画面で、映るのは奥へ行った映画面が捕らえたものだ。
つまりは二機の騎神であり、目まぐるしく動く騎神の動きに合わせて奥の映画面が忙しく動く。
ライタームは映画面を拡大させ、ジスアムと共に戦闘の様子を見る。
映画面に触れないように気を付けながら、ライタームは赤い騎神を指す。
「この赤い色のが日来の騎神です。あの赤い流魔を放出したものの正体ですね」
「騎神が流魔を放つなど聞いたことがない。これは面白いなあ。使徒希臘|《アンゲロスギリシア》が騒ぎそうなネタだなあ、たく」
「後で情報を寄越せとかなんと言ってくるでしょうし、面倒な国ですね」
「全くだ。前なんかではなんやら新しい騎神を造りたいからと、流活路の
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