一章 希望と絶望のセレモニーC
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あれから二日経ったその日、京介と小春は中央区の大会館正面入り口の前にいた。
「相変わらずデカイなぁ〜そこらの野球場とかそんなレベルだな」
『たしかにね、何万人規模で収容できる建物ですもの』
「学生は多いけど全員がここに集まることなんかないのに、こんなにデカイ建物が本当に必要なのか?」
『まぁこの無駄に豪華なところがこの学園の売りだからね」
彼らの目の前にどっしりと建っているのが『如月学園中央大会館』。
少し長い名前なので学園のなかでは大会館と略して呼ばれている。
高層ビルや特徴的なアート物が軒を並べる中央区の街の中でも、この建物の独特の雰囲気やたたずまいはかなり目を引く。
そしてその周辺にはこの中央区で勤務している職員、といっても教師ではなく学内のネットワークや金融面での仕事をしている大人達、それと京介達同様今回の件で集められたであろう生徒達がちらほらと見受けられる。
「あれ?あいつはD地区の剣道部のやつじゃねぇか?」
その人の中の一人を指差して小春に尋ねる。
『あの人は部長の長谷川君…だったはず。最後にあったのは二ヶ月前の練習試合よね?…あっ!あっちには同じB地区のパソコン部の人もいるわ』
その人並みの中には少数だが顔見知りも含まれていた。しかし知っているのは自分の分校内の生徒や、もしくは剣道部関係の生徒くらいである。
「みんな早く来すぎたみたいね。暇を持て余してるみたいですごく暇そう」
『俺もやることなくてすごく暇。全くお前のせいで睡眠時間足りてないしさぁ・・・」
「・・・あは・・・あははは〜・・・」
小春は感情の乗っていない笑いをしながら京介から視線を背ける。
彼女が多少なりとも罪悪感を感じるのは、彼女がプリントに書いていた集合時間を見間違え、まだ熟睡していた京介をたたき起こしてまで家から連れてきたからだ。
そのミスに気づいたのはB地区から中央区を結ぶ直通電車の中で再びプリント確認したとき。その時はそれを知った京介に「あんなに急かして支度をさせたくせ」にとすごく睨まれた。
そしていざこうして目的地に着いたが、当然予定時間はずいぶん先でまだ二時間近くも有り余っている。
「・・・少し早いけど中に入って待ってようか?」
小春は京介の顔色を伺いながら申し訳なさそうに提案する。
「そうだな、始まるまで席について寝て待ってるか」
ふわぁ〜と一つ大きなアクビと伸びをし、京介はノタノタと正面入口に向かっていく
「・・・ほんと京ちゃんは昔から変わんないなぁ・・・その間の抜けたアクビとか、だらしない歩き方とか・・・ふふふ
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