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センゴク恋姫記
第1幕 仙石権兵衛
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そ)それはできません。貴方が籘吉郎様をダメと言った以上、彼しか状況を変えることはできないのですから、あきらめてください」
「あのう……わし、やっぱり……」

 ゴンベエの目の前でぼそぼそと話す二人を前に、俯きつつ声を上げるゴンベエ。
 ちなみに半兵衛はともかく、貂蝉の声はダダ漏れだった。

「こほん……さっき言ったとおり、籘吉郎様のようにしろとは言いません。貴方のやり方でその人物を助けてあげてください」
「わし……自慢にもなりませんが、失敗ばかりしますが」
「そうかもしれませんね……ですが、貴方はいつもそれを挽回する功で成し得てきた。試し合戦、姉川の戦い、小谷城虎口、そして丹羽山城……上津城のことや、湯山奉行にしても私の死後、必ず事を成すであろうことはわかっていました」
「は、半兵衛様……」

 その言葉に、じんわりと涙を浮かべて感動するゴンベエ。
 彼にとって、半兵衛は籘吉郎と並ぶ良き理解者でもあった。

「今も昔も、貴方は私の策が間違ったとしても挽回してくれる『担保』なのですよ……やってくれますか?」
「はいっ! やります! 絶対にやってみせます!」
「あらあら……」

 貂蝉が、ゴンベエの眼の色に感嘆の声を上げる。
 そこにいたのは、先程まで自信なさげに見えた猪武者ではなかった。
 今は、自信に溢れ、『其の容貌見事也』と謳われた剛の武人、仙石権兵衛秀久の姿だった。

「たとえ我が身と代えてでも、其の方の命を守ってみせます! 信長様を守れるならば、武門の誉ッス!」
「ははは。信長様ご自身ではありませんよ。まあ、保護欲は出る容姿かもしれませんがね」
「はいっ……………………は?」

 半兵衛の言葉の意味がわからずに、間の抜けた顔を見せる。
 ただ、半兵衛は目を閉じ、微笑むように笑った。

「あの…………………………いまさらなんですけど、どんな方で?」
「それは…………まあ、行けばわかりますよ。ええと、貂蝉さん?」
「え? ああ……えーと、そうねん。目が覚めたら目の前にいる相手がその人よん。しっかり守ってね?」
「は?」

 守るべき相手の姿も、名すらもはぐらかされ、さすがに困惑する。

「あと、そうねぇ……ちょっとしたサービスもしといたげるわ。そのままだと、相手の印象もあんまり良くないだろうし……じゃあ、もういいかしら?」
「ええ。がんばるのですよ、ゴンベエ」
「え? あの、半兵衛様!?」

 焦るゴンベエに、笑いかけながら手を振る半兵衛。
 その姿が霞のように白い霧に覆われていく。

「貴方の活躍、楽しみにしています。すべてが終わったら、また会いましょう……」
「半兵衛様!? 竹中半兵衛様!」

 消えていく半兵衛へと手を伸ばすゴンベエ。
 だが、そのゴンベエ自
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