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センゴク恋姫記
第1幕 仙石権兵衛
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聞いてもらえますか?」
「もちろんです! 任せてください!」

 そう言って、ドン、と自分の胸を叩くゴンベエ。
 その姿に大男――貂蝉は、呆れるように呟いた。

「まだ内容も言ってないのに、せっかちな子ねぇん」
「ふふふ……そういう人物なのですよ、ゴンベエは」

 半兵衛は、そう言って笑う。
 二人の様子に、先走った事に気付き、顔を赤らめるゴンベエ。

「あー……それで、どんな頼みごとで?」
「実は……貴方には少し遠い場所に行ってもらいまして。そこで一人の人物の未来を変えてほしいのです」
「未来を……変える?」
「ええ。まあ、簡潔に言えばそちらで一人の人物が、信長様のように世を変えようとして頑張っています。ですが……このままだとその者は、夢を果たせずして死にます」
「なっ!?」

 ゴンベエは愕然とした。
 天下に名高き、信長様のような人物が他にもいた事。
 そして、その人物が死にそうだという。

「ああ、あくまでも『このままでは』ですよ。あなたが行った先では、まだ尾張の一勢力に過ぎなかった信長様と同じような状況です」
「尾張の頃の……ですか」
「ええ。ちょうど籘吉郎様がおね様と婚姻なされた頃……そういえばわかりますか?」
「……以前、籘吉郎様から聞いたことはありますが……」

 半兵衛の言葉に首を傾げるゴンベエ。
 彼が羽柴籘吉郎秀吉に仕え始めたのは、斎藤家が滅ぼされた後なのだ。
 その籘吉郎秀吉が、未だ木下の姓で織田信長にとして仕えるようになったのは、実に二十八年前。
 小者として仕え、その才覚を見出されて普請奉行、台所奉行などで功を成し、愛妻であるねねと婚姻したのが、1561年(永禄4年)であった。

「まあ、あなたはその頃、乳飲み子でしたからね……つまり、私があなたにお願いしたいのは、信長様に籘吉郎様がおられたように、その人物に貴方がいてあげて欲しいのです」
「うええっ!? わ、わしが籘吉郎様のように、ですか!?」

 ゴンベエは、今頃になって自分が安請け合いした内容に驚く。

「あ、あの……わ、わし、馬鹿なんですが……」
「ははは。なにも籘吉郎様と同じに振る舞えなどとは言いませんよ。籘吉郎様は籘吉郎様。貴方は貴方です」
「は、はあ……」

 汗をだらだらとかきつつ、曖昧に頷くゴンベエ。
 その様子に、貂蝉が半兵衛に耳打ちする。

「(ぼそぼそ)ちょ、ちょっとハンベーちゃん! 本当に大丈夫なのん? どう見ても貴方の代わりになんて、なれそうにないわよ?」
「(ぼそぼそ)大丈夫ですよ。彼は勘で道理がわかる男です。きっとドタバタしつつ成し遂げてくれますよ」
「(ぼそぼそ)でもねぇ……やっぱ貴方が行ってくれない? アタシは貴方に行って欲しいんだけど……」
「(ぼそぼ
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