第1幕 仙石権兵衛
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。
だが、ゴンベエは、そんな二人とは対照的に平然としていた。
「お前らな……そんなさも警戒してますじゃ、相手がどう動くかわからんじゃろが。ああいう相手はむしろ平然として対応するもんじゃぞ。まあ、もう遅いがの……」
かつては間者働きで、長島城への潜入すら行ったゴンベエである。
不審者や怪しい者への対応、その思考を誰よりも読みきっていた。
伊達にその身一つで一万石まで登りつめた訳ではないのである。
「じゃが、あやつも警戒されとるのに平然とまあ……肝がすわっとるのう。どれ……声を掛けてみるか」
「ゴン兄ぃ!?」
そう言って馬を進めるゴンベエに、慌てる孫。
その後ろでは、すばやい手つきで火種を作り、国友銃へ弾丸を詰めるソバカスがいた。
その手腕は、実に神業とも呼べる素早さだった。
「おぅい。そこの怪しい兄ちゃん。わしになんか用かのう?」
相手がいる数十mという距離で、馬を止めたゴンベエが不敵に笑う。
その表情は、三十路を過ぎてますます精悍だった。
容貌の勇壮さで召抱えられたという逸話は、伊達ではないのである。
「ゴン兄ぃ! お下がりを!」
その馬の前に、身を挺するように槍を構える孫こと、萩原孫太郎国秀。
普段はどんなにゴンベエを馬鹿にしていても、彼ほどゴンベエの忠臣はいないといえる。
「まあ、そういうこっちゃ。お前さん、あからさまに怪しいんでの。ちくと止まってくれるかのう」
ゴンベエの言葉に、無言のまま足を止める優男。
その姿は旅をする商人のようだったが、どこか不自然な違和感があった。
「ふむ……盗賊の類ではなさそうだが、なにやら面妖じゃの。もしかして、噂に聞く伊賀忍びかの?」
「………………」
「…………黙っとっちゃ、わからんぞ?」
そういうゴンベエも、顔は笑いながら腰の刀の鞘を押さえる。
いつでも抜刀できるように用心している。
そしてゴンベエの後方から伝わる殺気……それはソバカスが優男に狙いをつけたものだった。
ちらりと横目で確認すると、再度優男へと向き直る。
「誰の手の者か……白状するなら命は助けんこともない。まあ、ここでわしを狙うぐらいじゃから毛利か……それとも、宇喜多から毛利に寝返ったばかりの伊賀氏か……」
その言葉に、ニヤリと笑う優男。
瞬間――
「ソバカス!」
ドパァーンッ!
ゴンベエの叫びと、ソバカスの銃撃は、ほぼ同時だった。
そして、優男が爆発したのも同じだったのである。
「………………む?」
ゴンベエは、気がつくと白いもやの中で倒れていた。
周囲はまるで白い霧が視界を覆うように漂っている。
「どこじゃ、ここは
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