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ドラクエX・ドーラちゃんの外伝
人間ぽいヤツ(魔物)の事情
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っただろうか。

「どうした!さっさと、始めないか!」

 やっぱりよくわからないので、また怒鳴ってみる。
 なんでもいいから、なんかやってくれないかな。

 ムチをそれらしく振り回して待っていたら、この前の子供の、女のほうが出てきた。
 よかった、なんか進みそうだ。

 と思ったが、なんか言ってるだけで働いてくれない。

「口答えするな!いいから、働け!」

 また怒鳴ってみたら、すごい勢いで言い返された。
 なにを言ってるかわからない。
 笑顔なのに、なんか怖い。
 怖い。

「私の目を見ろ!!」

 すごい近くに寄られて、怒鳴り返された。

 ……怖い!
 本当に、怖い!
 なにこれ、なんだこれ!
 なんか、すごく、言うことを聞かないと、いけない気がする!
 言うことさえ聞いていれば、安心な気がする!!

「……計画書は?有るの?無いの?」
「……はい!あります!今、持ってきます!」
「そう。早くね」
「はい!!」

 よかった、許された!
 ここで逆らわなければ、大丈夫だ!
 これできっと、仕事も進む!
 この人についていけば、なにもかも大丈夫だ!!



 あの方は、ドーラ様と言うそうだ。
 勝手ながらお預かりしていた荷物は、そのまま預かっておくように指示された。
 丁寧に保管し、メモにお名前を書き足す。
 万一にも紛失しないよう、注意しておこう。

 ドーラ様の指揮のもと、工事は順調に開始された。
 とは言え立場上、ご自身も作業に参加されており、見た目上は私が指揮を取っている形だ。
 心苦しいが、ドーラ様のお望みなので、致し方ない。

 見た目を取り繕うため、奴隷たちをそれらしく怒鳴り付け、傷付けないようそれらしくムチを振るう演技指導も施された。
 作業は進むし、偉い魔物(ひと)には怒られないし。いいことづくめだ。
 やはり、この人についていけば大丈夫だ!
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