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流星のロックマン STARDUST BEGINS
星屑の覚醒
2 安息の場所
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久々の安眠だった。
いつもは体の痛みで寝付きが悪く、おまけに時々起きる。
そのため毎朝、メリーが起こそうとも起きない。
だがこの5時間という時間は今までにない深い眠りに落ちていた。

「寝起きで体がうまく動かないってわけじゃないわよね?」
「...いや」

彩斗は立ち上がった。
今は施設のトレーニングルームで、『クインティア』に体術のレクチャーを受けていた。
この施設の子供にとっての体育の授業のようなものだ。
だがどう考えても普通の体術ではない。
相手を殺しに行こうとするような、普通の格闘技では許可されていない肘打ちや膝蹴りなど危険な技を含んでいた。
1週間に2度しかないが、彩斗にとっては一番キライなものだった。

「じゃあ今日はここまで」
「分かった」

クインティアはディーラーの中ではハートのクイーンの地位にいる女性だった。
紺色じみた長い髪に必要な事以外は殆ど口にしない冷徹さ。
そして凄まじい戦闘力。
彩斗は体が貧弱でも先程のように不良を御すだけの体術を持っていたのはクインティアが原因だった。
肘や膝などによる攻撃は貧弱な人間であっても、強者との差を少なくする。
体重を付加しやすく威力が高い上、弱点である顔面や腹部、首などに打ち込めば、更にその差を詰めることが出来る。
カポエイラに柔術、ジークンドーなどを盛り込んだ暗殺術。
だが彩斗はこの訓練すらも恐怖だった。
結局は暴力を振るうことに他ならない。
クインティアに言ったてはまさか彩斗の攻撃が当たるとは思えないが、結局、恐れているのは当たった時だ。
当たりもしないものを恐れているのだった。
自分の臆病さに失望しながら、部屋を出ていこうとする。
だが入り口のところには、少年が立っていた。

「君はやらないのか?ジャック」
「何であんなことやんなきゃなんねぇんだよ?」

クインティアの弟の『ジャック』だ。
睨みつけるような目つきに、140センチと彩斗に比べれば低身長、だが彩斗よりも圧倒的に筋肉質だ。

「オレはお前より強いからな。訓練なんざいらない」
「そうかい...。僕もお前みたいに人を殴れたら...どんなに楽か...」

彩斗は皮肉りながらトレーニングルームを後にしようと再び足を動かすが、ジャックはその腕を掴んだ。
そして着ていたジャージを無理矢理に脱がす。

「!?おい!」
「...お前、いじめられてるってホントだったんだな?だからあんなにノロマで息が上がってんのか?」

ジャックは彩斗の体の傷を見てそう言った。
あからさまに誰が見ても絶句する傷だった。

「...クソ...あのクソババア話したな?」
「何?」
「その話を知ってるってことは、ハートレスがチクったんだろ?どうする?キングに報告するの
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