星屑の覚醒
2 安息の場所
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。でもそれはあくまで財団が作った世界だ」
「....」
「だから僕は外はどんなところか知りたくてこの学校に無理を言って通ってる。本当はきっとこの街なんて嫌いなんだ。学校にも愛想を尽かしてる。でも外に出る口実が欲しくて、必死に好きなふりをしてるんだ」
ミヤは次から次へと明かされる秘密に驚きを隠せなかった。
「じゃあ今までいじめられてることを大きく騒ぎ立てなかったのは、口実が無くなるから?」
「いや...きっとこの街の人たちにも愛想が尽きているんだ。相手にするだけ無駄だと。反撃するだけ無意味だって。そう思ってる」
「でもさっき、4人を一気に倒しちゃったじゃない?本当は運動もできてあんなに強いんだから...一発かましてやれば、もうイジメられることもないんじゃ...」
彩斗は自分でもおかしいことに気づいていた。
必死に表面を作っていても、本当はこの街、そして街の人間たちに対する怒りで心がいっぱいだった。
本当なら自分に直接的でなくとも辱めを受けさせた人間はその場で殴り倒してやりたい。
でも背筋が凍るほどに怖かった。
「僕は人を殴ることが怖い....自分の手で誰かを傷つけることが...まるで自分で自分を殴っているような気分になる」
彩斗はそう言いながら拳を握りながら震えた。
原因はこの公園でのある出来事にあった。
「何年か前にこの公園で僕のようにいじめられてる子がいた。石を投げられて大人数に囲まれてた...。僕にはあの子の痛みが痛いほど分かった。気づけば、体が動いていた」
「...そう。で、どうしたの?」
「全員尻尾を巻いて逃げ出したよ!でもね、その後、僕は震えが止まらなかった...。こんな痩せっぽちの虚弱体質で弱っちい奴でも殴ったら人を傷つけてしまう。その気になれば、殺せる。嫌な感じだった...もう二度と味わいたくないくらいに...」
ミヤは何となく分かった。
彩斗は優しすぎる上に、感受性が高いのだと。
自分が殴っているのに、殴られている相手の痛みまで感じてしまうほどに優しい。
だから暴力は振るわない。
たとえ自分が一方的に殴られても、今日のようにメリーにまで危害が加えられるようなことがなければ動くこともないのだ。
「それに...自分への罰のようにも思ってる。今まで僕は何人もの人を不幸にしてきた」
「え?」
「『シャーク』って知ってるかい?」
ミヤには心当たりがった。
ミヤでなかろうと知っている噂だ。
ネット世界では高名なクラッカーだ。
いじめや汚職に関わるようなサイトを告発したりする『正義の味方気取り』と散々叩かれている。
だがその腕は確かで、その噂を流した人間を特定し、自分の信者に粛清させるなどという報復まで加えている。
「確かハッカーでしょ?『電脳の鮫』って恐れ
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