§50 斉天大聖動乱。あとしまつ
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へ電話。東京が壊滅したので親が心配してくれているので安否の連絡をするのだ。一週間ぶりに聞く家族の声なので、郷愁感もへったくれもあったもんじゃない。
「あ、もしもしー」
「兄さん無事だった!? ……良かったー。ホント、心配したんだよ!!」
久方ぶりに聞く義妹の声。その声音から心配云々は本当の事だったことがわかり申し訳なく思う。
「いやー、悪いね」
この大惨事の渦中にいた、しかも中心的立場にいた人物だとバレたらどうなるだろう。それを考えると、少し怖い。
「ううん。無事ならそれで。お父さんもお母さんも、三軒先の藤見叔母さんまでみんな心配してたんだよ」
そんな恐怖など杞憂だと信じさせてくれるような明るい声に、救われたような気持ちになる。ふと、本当の家族の事が浮かんだ。冥界を呼び出しても現れない、実の父や母。伊邪那美命の権能を使うといやがおうでも思い出す。これだから、あの権能は正直あまり使いたくない。
「……兄さん大丈夫?」
こちらの様子が不審な事を受話器越しに感じ取ったのだろうか。義妹は殊更心配そうに様子をうかがってくる。
「ん。大丈夫だよ、ありがとう」
心配かけさせるなんて、全くもって兄失格だ。
「とりあえず、高校の事もあるからまだ帰らないけど、よろしく言っといて」
敷地がきれいさっぱり吹き飛んでいる以上、学校も休校になるか廃校になるかわからない。そこら辺の事情を把握するまでは帰らない方が事務手続きは楽だ。甘粕に頼む、という案もあるのだが、却下。正史編纂委員会は今回の件で過労死寸前だ。首都壊滅に神殺し大量襲来、黎斗の神殺し暴露にまつろわぬ神大量出現。これだけあれば職員が過労死していないだけでも驚嘆に値する。これ以上、私事で迷惑はかけられない。
「え。最近そっち物騒じゃん。帰ってきなよ。私もうヤだよ。毎日みんなでヒヤヒヤしながらしながら兄さんの無事を祈るのは」
「……ははは、申し訳ないね」
神殺しの安全を神に祈る、ことに乾いた笑いが生まれる。ま、祈った先が身内の神ならなんら問題は生じないか。
「ニュースで見たかもしれないけど。とりあえず東京崩壊につき主要機能は隣県やら大都市に移ってる。東京在住者の疎開モドキも始まってる。んで、僕はしばらく千葉に滞在することになったから。住所は忘れたから追ってメールするわ」
東京、といいながら実際は埼玉及び神奈川の一部にも被害が出ていたりする。破壊光線をぶっ放す際に、被害を防ごうと海の方向へ放っていたのが原因だろうか。なんにしろ、そんな訳だから山梨や千葉に移動する人が多い。城南高校関係者は黎斗の把握する限り千葉に移動だ。これは単に地域で分けた結果なのか委員会の手が入っているのかは、流石にわからない。
「……
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