例えばこんな非道い兵器はとっとと取り外した方がいいだろ
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ぁ。
〜シャルロット・デュノアの日記〜
6月17日
僕はもう一生ゴエモンに頭が上がらないと思う。
父さんの本音とか僕の正体をどうやって知ったのかは未だによく知らないが、GM-リンカーのようなものを作れる才能があるなら知っていてもおかしくはない。
あの時、デュノア社社長である父さんに本気で怒っていたゴエモンに、僕は涙が止まらなかった。
僕が愛人の子であること、身分も性別も隠してスパイとして送り込まれた事。それらすべてを知った上で、それでも自分たちを騙そうとした僕のために本気で怒ってくれる。何の躊躇もなくデュノア社社長という唯ならぬ身分の人間に対し叱責を浴びせるゴエモン。その横顔に、気のせいか母の面影が重なり、味方になってくれる人がいるという喜び、安堵、安心を思い出した僕は、母さんの葬式で枯れたと思っていた涙を溢れさせた。
あの瞬間、ゴエモンは世界でたった一人だけの僕の味方だった。たくさん言いたいことがあったのに、ありがとうの言葉を絞り出すことしか出来なかった。
ゴエモンは言いたいことを言い終えると、一夏に「後は任せた」と言わんばかりに肩を叩き、そのまま行ってしまった。そして一夏が二人目の味方になった。
父さんとは、和解した。ポツリポツリと少しずつ言いたいことを伝え、伝えられ、通じ合えた。最初から父さんは僕の味方になってくれる人だったんだ。味方は二人とデュノア社の社員全員となった。僕は泣きながら父さんの「困ったらいつでも帰ってこい」という言葉に頷いた。
そして今日のこれである。この画期的な機材の生産ライセンスを独占する事がどれだけ莫大な利益を生み出すか。これがあれば傾き始めた社の経営に歯止めをかけられる。その間に第3世代機の開発が間に合えば、デュノア社は経営危機から脱出するだろう。兵器だけでなくIS用機材という新たな道も開拓できる。そして何よりこのライセンスを譲り受けるという事はデュノア社と篠ノ之博士に間接的なパイプが出来るということだ。例え実際に技術のやり取りは無くとも、国際IS委員会でさえ足取りがつかめない天才との繋がりがある企業を潰すことなど出来なくなる。
そこまで考えてのライセンス。僕だけでなく僕の居場所をも守ろうとする行動。
僕はこの大恩を果たして返しきれるのだろうか?それが目下の悩みである。
その日記内容を見たジェーンは「いやアイツ絶対そこまで考えてないぞ」とツッコまずにはいられなかった。
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