天空闘技場編
未来の原石と頭痛の種
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のにそんな雰囲気は微塵も感じない。
え、なにこれ。
言葉もなく龍を見つめていると、ふらふらと近づいて私の左腕の傷口を舐め始めた。
蛇のような二つに分かれた先をもつ舌が、傷口を舐めて固まっていた血を舐めとっていく。
地味に痛い。
せっかく出来たかさぶたが無理やりはがされるようなものだから、血がまた流れ出してくる。
それでも、龍は舐める。
「ちょっと、あんたが食べるのは鉱石でしょ!? 何、血なんて舐め……」
血を舐めとった龍は、その赤い宝石がはまった額から光を放った。
それは、除念の時のまぶしい焼け付くような光とは違って、春先の暖かな太陽の光のような優しい光。
光が収まると同時に、左腕にずっとあった鈍い痛みが消えた。
「……うそ……」
斬り傷は、跡形もなく無くなっていた。
龍は、私の顔をじっと見ている。
それは「すごいでしょ? ねえ、すごいでしょ??」と言わんばかりにドヤ顔にしか見えなかった。
◇
あれから1週間と少し経った。
私は、120階から200階に向かう直通エレベーターの前にいる。
ぶっちゃけ、200階になんて行きたくなかったというのが本音だったりする。
お金がもらえなくなるし、戦うことは名誉だなんて思えないし。
弟子卒業試験がなければここに来ることはほぼなかったと思う。
私はあくまで中身は小市民一般人ですから。
下層に向かう、隣のエレベーターの扉が開いた。
何人もの選手やスタッフが降りてくる。
このフロアに関係者用のレストランがあるから、たぶん皆そこに行くのだろう。
自分も軽く食事してきたところだし。
そういえば、クラヴィスにも残念ドM…もといカストロにも会ってないけど、クラヴィスはともかく、カストロはちゃんとやれてるんだろうか。
原作だと来年辺りには200階でヒソカと戦わないといけないんだから、そこそこ頑張ってもらわないと。
「お! おねーさん、200階についに行くの?」
小さな子供の声が背後からした。
振り向くと、銀色と言うよりは、白色という色合いの髪の猫のような目をした幼い少年が立っていた。
「ええ、そうよ。もう少し早くいけると思ったんだけど、一日の試合数が少なくてね」
とりあえず、世間話として話を続ける。
「でも、十分早いじゃん。俺超時間かかったんだぜ?」
「あら、ぼうやも200階なの?」
「ボウヤってバカにすんなよ! キルアって名前があるんだからな」
……おい、ちょっと待て。
お前、まだここにいたのかよぉぉぉぉぉぉぉ
「ま、俺はもうこれで帰るけどね。200階まで行ったら帰って来いって言われたし」
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