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世界の片隅で生きるために
天空闘技場編
念能力開発1
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不幸中の幸いだったかもしれない)。素顔の段階じゃ、美人に負ける。
 だから、メイクを覚えた。もちろん、素顔ないしナチュラルメイクに見える手の込んだメイクをね。

 素顔とか、薄化粧がいいとかいってるやつ!
 ナチュラルに見える化粧は、本気で手がかかるんだ。
 生まれながらの美人でもない限り、素顔がキレイとかありえません。
 肌がきれいとかは普通にあると思うけどね。
 素顔をみて「そんな顔だったんだな……」とかって幻滅とかしないように。

 決して、私がそれで振られたことがあるからいってるわけではない。
 決して。

 ……あれ、なんか話がずれた。
 っていうか、誰かに話してるわけでもないのに何で、こんな不毛なこと……
 まあ、それはともかく。
 念で、幽白の化粧使いの技を再現してみたらいいんじゃなかろうか。
 制約と誓約がかなり面倒になりそうだけど、そこは根性で乗り切ろう。
 良い思いつきに思わず笑みを浮かべた。

 ただ、再現するにあたって問題がある。

 オリジナルの化粧使い画魔の化粧は、歌舞伎の隈取かシャーマンの刺青のようだ。
 化粧の発祥を振り返るとシャーマニズムは切り離せない。だから、全身に刺青のように書き込む歌舞伎の隈取のような複雑な文様の理由だってわかる。

 でも、あれをそのままやるのは絶対に嫌。

 あれは私の目指すキレイと程遠いし、あんな化粧をしたゴスロリ少女なんて見たくはない。人前に出ても問題ない、自分の美的センスで許す落としどころを考えねば。
 そして、使用する化粧水(あれを化粧水と呼ぶのは、私の中では疑問が残る。どう見ても絵の具か染料と呼ぶべきだと思う)は自分の血が元になっている。

 自分の血を元にすること自体は特に問題はない。
 それが制約にも誓約にもなるし、自分以外には使えなくなるし。
 ただ、どうやって血を媒体にするのかが問題だ。

 普段使っている化粧品にほんの少量の自分の血を混ぜて、それを媒介にして念を込めるようにする?

 私の持っているもので混ぜられそうなものというと……化粧水、乳液、下地クリーム、リキッドファンデとアイライナー、マスカラ、それとグロス。
 全部、液体かクリーム状の物だ。固形やパウダー状のものだと、固まるし混ぜるのが大変。
 この場合は、ほんの少量とはいえ血を塗ることに自分に抵抗が出ないかということと、念がこもっているとはいえ異物を混ぜるから化粧品の保存性に問題か。

 それなら、血を媒体にして化粧品を「具現化」する?

 血をキーとして具現化か……。
 悪くないけれど、私の念の許容量オーバーしないだろうか。
 何せ、私は努力と思い込みと師匠のおかげで、多少は生きていく力がついた、運が良かっただけの一般人にすぎない。
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