暁 〜小説投稿サイト〜
世界の片隅で生きるために
天空闘技場編
飛行船で天空闘技場へ
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「……暇だわ……」

 ぼーっと部屋の窓の外を見ながら、そんな言葉がつい口から出る。
 元の世界から持ってきた本はとうの昔に読んでしまったし、こっちの世界の文字は読めはするけれど活字として読む気にはなれない。

 これから四日くらい空の旅である。

 元の世界の飛行機と違い、飛行船の速度はゆっくりだ。
 目的地までだって、時間がかかる。

「…………船内でも見てまわろうかな」

 部屋においてあった飛行船のパンフレットを持って、部屋から通路に出た。

 船旅とか最低ランクだと雑魚寝になるから、それを自分は覚悟していたんだけど、師匠がくれたチケットの船室は、一人部屋だった。
 普通のホテルのシングルルームより多少狭いけど、飛行船だしそれも仕方ないし、一人で泊まるにはちょうどいい。
 何よりも、シャワールームが付いてるのが嬉しい!
 飛行船内にも大浴場があるから、そっちで入ればいいんだろうけど部屋に有ると無いとじゃやっぱり気分的に違いがある。

「何処から見てまわろうかなあ……」

 個別客室フロアから共有フロアに移動しようと、パンフレットをめくりながら歩く。

 ロイヤルスイート、スイート、セミスイートは各1室しかなくて、船の中央の階層の前方の見晴らしがいい部分にある。
 カードキー対応だし、バス・トイレ・冷蔵庫・テレビ・ネット環境までついてる。
 無料のアメニティが揃ってるし、おまけに毎食の食事もルームサービスで無料。
 それから少し落ちて、デラックスが34室。中央の階層の後方とその上の階層の前方部分。
 次いで、一等客室が68室。デラックスルームと同じ階層の後方部分と下層の前方部分。 うち、シングルルームが15室で、自分の客室はこのクラス。
 この下のランクからは個部屋ではなく、上下セパレート2段ベットの寝台、そして最低ランクの雑魚寝。

「師匠には感謝しないとなあ……ほんと……」

 覚悟はしてたとはいえ、実際に個室じゃなかったら、こんなに落ち着いてなかっただろう。
 ええ、中身はアレだけど、見た目は美少女。……自惚れじゃないはず。
 メイク変えたせいもあるとは思うけど、最初の頃の軽くホラー印象の自分はどこいった。

 まあ、それで貞操的な意味で襲われることとかも考えないといけない。
 別に負けるとは思ってないんだけど、転生モノや異世界召喚モノなんかでつきものの「いきなり最強!!」なんてチートとは私は無縁だからね。

 地道にコツコツだよ、うん。

 まあ、それはそれとして、続き続き……
 共有フロア……パプリックスペースには売店・展望ラウンジ・展望レストラン・ミニシアター・ゲームコーナー・喫煙ルームがあるみたい。
 ミニシアターは古い名作映画が上映されてるのか。
 
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