7話
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「いや、ちょっと止むに止まれぬ事情があってだな……」
具体的には、そのストーカーが思いっきり知り合いだとか、結構いいお家柄の少女だとか。
星伽巫女が激ヤバヤンデレストーカーなど洒落にならないし、何より白雪は昔馴染みだ。彼としては、あまり事を荒立てたくはなかった。
ふうん、とアリアは興味薄げに言って、カップを置く。そして、薄桃色の饅頭を口に運んだ。
「うん、おいしい」
(松本屋のももまんだよな、あれ……)
コーヒーの付け合わせになんてチョイスだろう。しかし、視覚的な観点から見るなら、彼女のピンクブロンドの髪には結構マッチしている気もしないではない。何より美味しそうに頬張るアリアは幸せそうで、見ているキンジの方も思わず口許が緩むくらいだった。
さて、とアリアの向かいに座る。
この弾丸娘が無断で部屋に上がり込んでいる理由には、大方の推測がついていた。
自分をパートナーに据えるために、強襲科へとスカウトすべくわざわざ足を運んだといったところだろう。
(なんとか答えてやりたいが……強襲科には戻れないよな、やっぱり)
「さて。質問いいか?」
丁度ももまんを食べ終わったらしく口許をハンカチで拭っていた彼女に問う。
「愚問は受け付けないわよ、私は」
先ほどの質問は、このSランク武偵の中では愚問にカテゴライズされているらしい。
「じゃあ問一。何をしに来た?」
「あなたを強襲科に誘いにね」
太陽のような微笑み。
思わずくらっと来てしまう美少女のはにかみ笑いをどうにか堪える。
落ち着けキンジ。傷は浅い。
「……お前はパートナーを探しているんだろう。別に俺は、お前のパートナーになるにはやぶさかではないんだ。強襲科に戻る必要は無いはずだ」
「大アリよ。パートナーは互いの信頼関係が命なの。一秒でも長く一緒にいるのは当然のことよ。同じ強襲科なら、断然連携も組みやすくなる」
「確かにそうかもな。だが、俺は強襲科に戻る気はないよ。ただでさえ転科の際には色んな人に迷惑を掛けている。それを繰り返したくない」
むう、とアリアは頬を膨らませる。
「強情ね」
「そっくり返すぞ」
キンジは立ち上がり、キッチンへ向かう。冷蔵庫を漁ると、飲みかけのスポーツドリンクのペットボトルがあったので手に取り、軽く喉を潤す。
「まあ、転科云々は置いといて別の話をしよう。問二。何故パートナーなんか欲してる?」
キンジの見たてでは、というよりそれ以前に彼女のランクが物語っているが、アリアは相当腕が立つ。
射撃の腕前はアドシアードで優勝だって狙えるはずだ。それに『緋弾』についての噂には、日本刀での近接戦もこなすとされている。
パートナーはいて損はしない。だが、必ずしも居なくてはならな
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