第16局
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
― アメリカ ―
先日saiと対局した男性は、今日は友人を自宅に招いていた。
友人は昨年のアメリカ代表になった碁打ち仲間だ。
男性のネット碁の対局を、横から観戦していた。
「これが今の君のライバルのasuか。」
「昨年のアメリカ代表である君の感想は?」
「たいしたものじゃないか。さすが日本人だ。是非一度僕も対局したいね!」
対局は終盤に差し掛かっており、ほぼ互角の展開だった。
「棋力が結構ボクと近いようでね、対局成績も勝ったり負けたりで結構五分五分なんだ。もう一人、akaという人も最近いるんだが、この人はボクより少し強い感じでね、負けの方が多いかな。」
「君と五分なら、僕とも五分ってことだからね。いや、ネット碁に実力者が増えてくれるのは大歓迎だね。」
「今回もかなり細かくなったな…。ちょっと足りないかな。」
「ハハ。なんだかんだいって、アメリカトップクラスの碁打ちがゴロゴロしてるんだもんな、日本は。プロがいる国は一味違うか。」
対局が終了したところ、二目差でasuの勝ちだった。
「残念、今回は負けたか。」
「いや、いい碁だったじゃないか。これは、アメリカ予選もうかうかしていられないな。」
「そりゃ、ボクも今回は狙っているからね。さて、次はと…。おっ!saiが対局しているじゃないか!」
「噂の無敗棋士か…。お手並み拝見といこうじゃないか。」
― 中国 ―
中国の強豪アマチュア棋士、李臨新(リ・リンシン)、彼もネット碁でsaiに注目する人物の一人だった。
今日も、saiの対局を見つけ、観戦している。
―…やはり、強い。そもそもネット碁とはいえ無敗というのがありえない…。代表クラスだって取りこぼしはあるというのに、saiはその代表クラス相手でも負けていない。
そう、囲碁の世界で”負け無し”とは本来ありえないことだった。
アマチュアのトップレベルであれば、プロと互角に渡り合える者はいる。
しかし、そのレベルに届くアマチュアは世界的に見てもほんの一握りだ。
そして、トップレベル同士のアマチュアの対局になれば、差は僅差だ。
ほぼ互角の勝負が繰り広げられることとなり、当然勝ったり負けたりとなる。
―saiが時々対局している日本のakaとasuにしても、そこまでの強さじゃない。事実、saiには勝っていない。強いことには間違いないが取りこぼしも多い…。特にasuの方はまだ甘い。
李は中国のアマチュア代表クラスであり、中国の代表クラスということは、世界トップレベルということを意味する。
その李から見て、akaは日本代表にしてはやや物足りず、asuはもう少し下に見えた。
そして、saiは強さの底が見えなかった。
―saiの力はアマチュ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ