第五章、その1の1:ヴォレンド遺跡
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」「あなたが次に花を愛でる時は、悪しき龍と相見える時であろう」
どうもこの占いというのは人を悲嘆に暮れさせるような事しか言わないらしい。次々に出るこれらの言葉は、いずれも確証の無い推量によるものに違いないのだが、心に一抹の不安を抱かせるには十分なほど不穏であった。苦笑も引っ込んでしまい、慧卓は俄に緊張した表情となってしまう。
「Vulod wum sallen. Zo's Eire gellen.」「闇の数は増えていく。あなたの炎も小さくなるだろう」
「Zo am Zo's Elv. Zo's kjem Lesste mui, dnu quo'dm doran」「遺す命を見詰めよ。あなたの骨に宿るのは、鋼の思いと、大きな龍である」
それが最後の言葉であったのだろう、老婆は大きく疲労の息を漏らすと、香草が入っていた取り皿や燭台を片付け始める。ソツが沈黙を取り繕おうと口を開きかけると、老婆は彼に向かって近くによるよう指をやる。ソツは近付いて耳打ちされると、困惑したような顔付となって言った。
「予言はこれで終わりですが・・・祈祷師様曰く、あなたと二人きりになれば、更に予言をいう事も出来るらしいです」
「・・・じゃぁ折角だから、いただこうかな」「分かりました。では、私は少し失礼します」
ソツはそう残して部屋を去っていく。慧卓は煙でむせ返りそうになりながら咳払いをし、老婆の注意を惹きつけてから尋ねた。
「で、俺に何を言いたいんです。・・・言葉が分かるとは思ってないけど」
「・・・・・・お前は闇に誘われる」「!?」
鷹揚で、重々しい言葉であった。それはエルフだけにしか通じぬものでは無く、慧卓らが話す言語であった。老婆は唖然としている慧卓を、深い泥のような黒い瞳で見詰めた。
「闇の手が、大きな墓の中から這い出て、生贄を求めさまようだろう。その手はまっすぐにお前を狙う」
「・・・その闇は一体・・・」
「遥か昔に葬られた、骸の妄執。肉体は死すとも野心は消えず、大地を蠢き、骨を伝い、どこまでも求めるだろう。決して光を手放すな。それがお前の命綱となる」
不吉極まる予言であった。今までに遭遇したことの無い、巨大な敵の存在を予感させる。慧卓は虚空の中にある筈の、自分とコーデリアを繋ぎとめる『召喚の器』を握るように、ぎゅっと手に力を込めた。形の無いそれが勇気の源となってくれたのか、慧卓は不安や恐れに襲われつつも、老婆の言葉に傾注することができた。
老婆は新たな予言を付け加える。
「お前を囲う花は三本だ。その他にも様々に花と出会うが、しかしその三本はいついかなる時も、お前を迎えてくれる。花を裏切るな。それはお前の安らぎの場所となる」
「・・・心当たりがあります。その花っていうのに」
「ならば恐れるな
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