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王道を走れば:幻想にて
第五章、その1の1:ヴォレンド遺跡
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たが、その皺の一本一本に歴史を感じさせ、女性の言葉に説得力と圧迫感を滲ませていた。

「Zo'g yende kkollosa iu.」
「・・・えと?」「手を差し出して下さい。どちらでも構いません。掌の皺が見えるくらいに、大きく指を開いて」

 言われた通りに右手を開く。老婆は慧卓の手を掴むと、爪先から手首の辺りまで、さらには関節の皺や指の間のヒレにかけて、香草を塗りたくっていく。葉から漏れたのであろう、変な水気も感じる。

「毒は無いですよね?」「はい、ありません。ただの香草ですが、祈祷には欠かせぬ大事な道具です」

 老婆はふんだんに香草を使うと、燭台の火へ慧卓の手を入れようとする。思わず抵抗して手を引っ込めようとするが、ソツは安全だといわんばかりに言った。

「炎の中に手を入れて下さい。大丈夫、熱くはありません」「・・・本当ですか?」

 返答がされる前に手が燭台の火に当てられた。掌が炙られる感じがあるのだが、不思議にも熱や痛みは感じない。余分な香草がばちばちと線香花火のように弾けているだけで、何事も無いのである。
 芯に至るような仄かな熱を感じ始めた時、老婆は燭台を遠ざけて掌を面にする。香草が炙られたところを中心として、皺や血管をなぞるように深緑の線が広がっている。それらは鼻を擽るような匂いを出しており、時間と共に心を安らかにする気がした。
 しげしげとその碧の模様を見ながら、老婆はしわがれた声で告げた。それらをソツが翻訳する。

「Zo jakme quo'dm papas.」「あなたの未来に、大きな壁が見える」
「Zo temme rohomn'd aquinus korruns.」「あなたはそれに正面から挑み、そして初めは敗北するでしょう」
「Jaet Zo qoum o'z Magic, kommijen's pikko mme Zo's doran.」「しかし大きな魔に触れる事で、あなたの中の龍が目覚める」
「つまり?」
「ヴォレンド遺跡において、あなたは敗北します。その際、あなたは何らかの機会を得て、自分自身の魔力を解放させるでしょう。困難に打ち勝てるという事です」

 苦笑を漏らさずにはいられない。壁、敗北、おまけに龍。一体何を指しているのか見当がつかないが、遺跡では要注意という事だけは明確に理解できた。
 占いは続く。

「Doran jumai bluddm's fyims Zo's pttou.」「龍の力に酔うなかれ。それはあなたの命を削るだろう」
「Uiom kamsdo gui, Zo istuq foll yu nord.」「淡い花は悲しみに暮れ、あなたを北に遠ざける」
「Zo nuim ccosai quo'dm Xiotselle gelun Wei Doran.
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