崑崙の章
第16話 「俺の名は左慈。管理者だ」
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「俺の名は左慈。管理者だ」
―― other side ??? ――
「な……!?」
盾二が驚嘆の声を上げる。
洞窟を歩き、その出口に出た盾二が見た光景は、想像を絶していた。
周囲は空中に浮かぶ岩岩。
その巨大な岩の間に、いくつもの通路がかかっており、広い岩の上には館すら立っている。
その他、広間、庭園、森、家畜小屋、畑や果樹園などもあり、まるでどこかの山林の豪邸のようだった。
それらが空中に浮かびながら、そこにあったのである。
「こ、これは……異空間か?」
「ほう……察しがいいな。ここは仙人界だ。お前の世界の産物なのだから聞いたことぐらいはあるのだろう?」
そう言う左慈に、はっとして凝視する盾二。
「……そうか、管理者は仙人……朧が目指したもの、か」
「俺達は本来、別のところにいたんだが、ここが気に入ってな。しばらく前からここを使わせてもらっている」
「あの世界の産物……そうか、大槻が変な空間で朧と立ち会ったと言っていたのは……ここのことか」
周囲を見ると、巨大な岩の上から滝のように流れる水が、雲海を川のように流れて各岩の合間を循環している。
竹藪や森から顔を出した鹿が、こちらに気づき、岩を飛び出して空中を走り、別の岩へと飛び去っていった。
もはや常識など通じない光景が、盾二の前に広がっている。
「まてよ……ということは、この世界由来の仙人もいるってことじゃ……」
「ああ、いるぞ。だが、大抵は管理者になるか、さらに解脱をして魂魄となるから、ここにはいないがな」
そう言って、左慈は川縁へ降り立ち、身を屈める。
腰につけてた竹筒に川の水を入れて、盾二に放った。
不意に投げられた竹筒に、慌てる盾二。
「ととっ……?」
「飲め。それで身体の疲れも不調も治る。治ったら死合うぞ」
「しあ……なんでだ?」
竹筒を眺めつつ、首を傾げる盾二の言葉に、いらいらとして頭を掻く左慈。
「あいかわらずまどろっこしいのは、北郷一刀と同じだな。貴様は、なんのためにここに来たんだ」
左慈の言葉に、水の味を確かめるように口に含んだ盾二が、竹筒から口を離す。
「……いや、それはわかるが。それと死合うことがわからん」
「……はあ。では、はっきり言ってやる。お前が求める賢者の石を護る番人は俺だ。だから俺を倒さなければ、賢者の石はやれない。これでいいだろう?」
そう言って左慈は、ついて来いと歩き出す。
盾二は少しの間逡巡する。
しかし、やむなしと首を振り、竹筒の水を飲みながら左慈の後を追う。
しばらく歩き、長い階段を登ると、岩の上に開けた広間へと出る。
周
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