第九章 双月の舞踏会
第七話 スレイプニィルの舞踏会
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る。何を考えているのか、その顔には蝶の形をしたマスクを被っていた。殆んどギャグである。
「オホホ。夜の貴婦人たるわたくしが、あなたたちに一時の魔法をかけてあげましょう」
いや、ギャグにしても随分と酷い。
シュヴルーズ先生の案内にしたがって、列となった生徒たちが次々とカーテンの向こうに消えていく。ズラリと並んだ列の中には、ルイズやキュルケの姿もある。
それを確認した士郎は、先に行くとルイズたちに離れた位置からジェスチャーで伝えた後、ホールに向かって歩き出した。
「ほう。これは確かに凄いな」
ホールには、様々な人物で溢れていた。この世界の有名人なのだろうか、同じ姿をした人物を何人も見かける。それに見た目の年齢層が高い。親や兄弟なのだろうか。
中には顔見知りの姿もあったが、確実に本人ではないだろう。自分の姿をその中に見つけた時には、流石に何か気恥ずかしくなったが、士郎は飲み物を片手にホールの中を見て回る。
暫らくホールの中を散策していると、生徒たちが全員集まったのか、壇上の上にオスマン氏が登り始めた。
「ふむ。どうやら皆そろったようじゃな。では皆の者。改めて挨拶じゃ」
壇上の上でオスマン氏が開催の前の挨拶を語っている。内容は普段のおちゃらけを感じさせないしっかりとしたもので、含蓄のあるものばかりであった。事実、オスマン氏の言葉に顔を頷かせていたり関心の声を上げる生徒たちの姿も見かけられる。真剣に話に聞き入っていた生徒たちであったが、オスマン氏があることを口にした瞬間から周囲を見渡しそわそわと身体を動かし始めた。
それは、女王陛下であるアンリエッタがこのスレイプニィルの舞踏会に出席しているといったものだ。
ざわつく生徒たちをにこやかに見下ろしていたオスマン氏は、こほんと一つ咳をすると、両手を広げてスレイプニィルの舞踏会の開催を宣言する。
万雷の拍手を受けたオスマン氏は、真面目な顔のまま壇上から降りると、そのまま出入り口に向かって歩き出した。
拍手の音がまばらになる頃、オスマン氏が出て行った出入り口から殆んど紐としか言いようのない服? を着た女性が現れる。女性はホールに集まる者の呆然とした視線を受けたまま、そのまま壇上に上がると、胸の下で腕を組み、両腕を持ち上げるようにして胸を強調するポーズをとった。
「オスマ―――っごはっ!!」
瞬間、オスマン氏が変身した女性の額に、何処からか飛んできた竹刀が突き刺さった。
壇上から吹き飛び床を転がるオスマン氏の足を掴んだ教師の一人が、無言でホールの外まで引きずっていく。
「わ、わしの、じんせいに、いっぺん、のく、いなし」
引きずらえながらも片手を上げ親指を立てるオスマン氏に、生徒たちは氷のような冷たい視線を投げかける。
パ
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