第九章 双月の舞踏会
第七話 スレイプニィルの舞踏会
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ールとギムリとは、士郎が騎士になる前は全くと言っていいほど接点はなかったが、厳しい入隊試験に合格したとこから最近は毎日のように顔を合わせるようになっていた。
眼鏡を掛けた細身の少年であるレイナールは、若いながらもアルビオン戦役の混乱する退却の中、部隊を纏め上げることの出来る冷静沈着なところを持って士郎の入隊試験に挑み。逆に筋肉質な身体と豪快な性格の持ち主であるギムリは、その肉体の頑健さをもってして何とか入隊試験に挑んだ。
最初は全く気乗りしていなかった士郎だったが、最近は我武者羅にかかってくるギーシュたちの相手をすることを悪くないと感じ始めていた。
今も訓練後の痛みを紛らわすように、話している彼らの姿を見ていると、自然と笑みが浮かんでくる。
「授業には遅れるなよ」
ギーシュたちの返事を背に歩き出した士郎の前に、ルイズよりも小さな身体の青い髪を持つ少女が大きな杖を手に立っていた。
「俺に何か用か?」
問いに、タバサは士郎の後ろで何やら笑っているギーシュ達に視線を向けた。
「何時まで騎士ごっこを続けるつもり」
タバサの冷たい声に、士郎は肩を竦めた。
「そう言うな。まともな訓練を初めてまだ間がない。形になるのはまだまだ先のことだ」
「敵は待ってくれない」
返事があったことに士郎は軽く目を見張ったが、後ろで騒いでいるギーシュたちをチラリと肩ごしに見た後、苦笑を浮かべた。
「入隊させた責任は取る。一人前になるまではどんな奴らからでも俺が守るさ」
「無理」
士郎の目が驚きに丸くなる。
今日のタバサはどうやら相当機嫌がいいのか、それとも悪いのか……。士郎は苦笑を浮かべた顔で尋ねる。
「何で無理なんだ?」
「この世界には、決して勝つことの出来ない存在がいるから」
「それでも守るさ」
「それに、彼らもある程度は覚悟して騎士隊に入っている。あなたに守ってもらう必要はないはず」
「ま、確かにそうだろうな」
「分かっているなら何故?」
タバサの顔が上がり、士郎の目を真っ直ぐに見る。
その冷たい凍った湖のような瞳の奥に、揺れ動くものを感じる士郎。
怒り……悲しみ……苛立ち……どれも違うような……。
内心首を傾げながらも士郎は苦笑いを浮かべた顔で首を竦ませ、直ぐにタバサへ返事を返す。
「そういう性分でな」
「……長生きできない」
「よく言われる」
笑って頷く士郎にタバサは背中を向けると、
「……あなたは甘すぎる」
最後にポツリと一言呟くと歩き出した。
パタンと扉が閉まる音を背に、部屋の中に入ったタバサは、直ぐに部屋に侵入している存在に気が付いた。
驚きもなく見つめる先には、机の上に乗って自
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