第九章 双月の舞踏会
第七話 スレイプニィルの舞踏会
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か・そ・う」
士郎の言葉に訝しげな顔をしたギーシュだったが、直ぐにふふんっと鼻を鳴らすと、得意げに胸を張った。
「仮装パーティーか、珍しいがそこまで言う程のことか?」
「それが『ただの』仮装パーティーじゃないんだよ。魔法を使って仮装する仮装パーティーなんだよ」
「ほう。魔法を使用した仮装パーティーか。それなら確かにただの舞踏会ではないな」
士郎が頷いていると、横からマリコルヌが割り込んでくる。
「ふふふしかもその仮装は、『真実の鏡』と言われるマジックアイテムを使用するんだがね、その人の一番憧れているものに化けることが出来るんだよっ! ああっ一体ぼくは何に変わるのかッ!! 憧れ……ぼくが憧れるのは美しい少女。もしかしてぼくは美少女にかわ―――ふぐ!」
おっほおおおおおッ! と身体を抱きしめながら奇声を上げるマリコルヌを強制的に黙らせた士郎は、地面に転がるソレを無視して腕を組む。
憧れの人か……、俺なら誰になるんだ?
憧れ……セイバー? いや、じいさんとか……。いやもしかして……あの人の可能性も。
眉間に皺を寄せ考える士郎であったが、次々と浮かぶ人物の中に自分とよく似た背中が見えた気がした瞬間顔を大きく横に振った。
「別に仮装しなければいけないというわけでもないんだろ?」
「え? あ、ああ。絶対と言うわけではないと聞いているけど。シロウは仮装しないのかい?」
「ああ。ま、参加するかもまだ決めてないしな」
ギーシュの返事に士郎が頷いていると、先程から会話に参加してこないレイナールたちが目に入った。
「何の話をしているんだ?」
既に治療を終えた残りの騎士隊員であるレイナールとギムリが、顔を寄せ合って何やら話していることに気付いた士郎が問いかける。
「え? あ、隊長。いえこの間叔父に会った時に聞いた、最近宮中で噂になっている巨大な『影』について話していたところです」
「巨大な『影』?」
「はい。夜間の哨戒にあたっていた竜騎士の一人が見たそうです。竜が怖がって近づけなかったそうで、その正体は全く分からないようですが、百メイルを超える大きさで、奇妙な音が聞こえたとその竜騎士は証言したそうです」
眼鏡のつるを指先で押し上げながらレイナールが答えると、隣のギムリが指を立てて口を開いた。
「それでその正体について話し合ってたんです」
「で、結論は出たのか?」
「いえ、それが全く。伝説の巨大竜にしては竜種とは羽の形が全く違うそうですし、船にしては翼がある船なんて聞いたこともない。大方雲か何かを見間違えたんじゃないかとぼくは思うんですが」
レイナールとギムリが唸り声を上げながら腕を組み首を傾げる。
士郎はそんな二人を笑いながら見下ろす。
レイナ
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